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連載|OPINION

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『連載|OPINION 社会のココを深く掘る。』は、社会にある様々なテーマにスポットライトを当てて、第一人者などに頭の中にある考えを聞きにいくインタビュー企画です。
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中国経済の行方と日本企業の勝機|ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員・大西康雄  第1話

取材・文/大橋史彦、編集/ロボティア、FOUND編集部 2018年の訪日中国人観光客数は、838万100人でした(日本政府観光局(JNTO)の発表)。いっときと比べれば“爆買い”が縮小し、消費額が落ちているものの、前年比13.9%増というこの数字、これだけ多くの中国人が訪れれば経済効果は小さくないはずです。 にもかからず日本では、米中貿易摩擦に対する懸念から、中国の景気減速を強調したり先行きを不安視する報道が目立ちます。 また、中国の2018年の実質国内総生産(GDP)

手術支援ロボット「ダヴィンチ」の現在と未来| ロボット手術支援センター長 大野芳正 第2話

取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真/荻原美津雄、取材・編集/鈴木隆文(FOUND編集部) 第一話のインタビューでは、ダ・ヴィンチのこれまでとこれからが明かされました。米国で1999年に製品開発されてから20年の時を経て、ようやく日本にも根付いた感のある手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」。 既に活用されている泌尿器科、婦人科、消化器外科をはじめ、これからは呼吸器外科、耳鼻科でも活用が期待されていることがわかりました。 ロボット手術の保険適用については、健康保険が使える範囲

手術支援ロボット「ダヴィンチ」の現在と未来|  ロボット手術支援センター長 大野芳正 第1話

取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真/荻原美津雄、取材・編集/鈴木隆文(FOUND編集部) 先進国における高齢化、また新興国における医療水準向上への需要の高まりなどを受け、医療機器市場の成長が期待されています。日本の医療機器市場は、約20年の間、2兆円前後を横ばいで推移。 2016年には、過去最高となる2.9兆円を記録しました。同年の日本の医療費は42.1兆円ですが、医療機器市場が占める割合はそのうち約7%とされています。 医療機器には実にさまざまな種類が存在しますが、

中国経済の行方と日本企業の勝機|ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員・大西康雄  第2話

米国と中国での貿易摩擦などはあるものの、中国経済は未だに勢い、存在感が高いというお話を大西康雄氏(ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)から聞くことができました。 第2話では、その中国経済の中身について、内側の事情にスポットライトを当てて紹介することにしましょう。 「中立的で」が取れて「穏健」が強調される金融政策「中国経済がクールダウンしている」という指摘が当たっているかどうかはさておいて、2018年は中国で流行語のように言われている言葉があります。"消費降級(

どうなる? これからの男の美意識と、メンズコスメ市場の未来|ビューティーサイエンティスト・岡部美代治 第2回

文・取材/ 楯雅平(ロボティア)、写真/荻原美津雄 、編集・取材/鈴木隆文(FOUND) 男性向け化粧品の開発とマーケティングに長年携わってきた専門家から学ぶインタビュー。前回は、メンズコスメの機能や、利用者である男性の意識の移り変わりについて聞きました。 後編となる今回は、プロ目線でメンズコスメの良し悪しを判断するポイントやマーケットの将来性、日本企業が海外市場に打って出る意味などについて、引き続き岡部さんにお話しをしていただきます。 お客さんの悩みに寄り添うことが大

外食産業、新たな可能性と問題点|亜細亜大学経営学部 横川潤 第3話

取材・文/鈴木俊之、写真/荻原美津雄、取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部) 前回、人手不足という深刻な問題を抱える外食産業業界のお話をうかがいました。 今回も、業界が抱える別の問題について迫ってみたいと思います。 前回と同じく、外食産業に詳しい、亜細亜大学の横川潤先生にお話をお聞きします。 横川潤(よこかわ・じゅん) 1962年長野県諏訪市で生まれ、東京都国立市で育つ。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科教授。慶大法学部法律学科卒、同大学院修了後、1

メンズコスメの歴史と男たちの美意識の変化|ビューティーサイエンティスト・岡部美代治 第1回

文・取材/ 楯雅平(ロボティア)、写真/荻原美津雄 、編集・取材/鈴木隆文(FOUND) メンズコスメ(男性用化粧品)の市場が注目されています。15~69歳、7,700人を対象にした民間調査会社の調査ででは、「外見を今よりよくすること・若さを保つことへの関心」があると回答した男性が61%を超えるなど、男性の大半が美容やアンチエイジングに興味を思っていることが明らかになっています。 そんなわけで、洗顔やスキンケア、ヘアケア、フレグランスなどのメンズコスメ市場がいま活況です。

なぜ日本のキャッシュレス化は進まない?|日本キャッシュレス化協会代表理事・川野祐司教授 第2話

取材・文/河鐘基(ロボティア)、取材・編集/FOUND編集部、写真/荻原美津雄 前編では、いかに世界のキャッシュレス化が進んでいるかが明らかになりました。後編では、「日本のキャッシュレス化がなぜ思うように進まないのか?」について、いよいよ川野先生に話を聞きます。 キャッシュレスという分野においては、独自の道筋を辿った日本にキャッシュレス社会の到来を促す大切な要素は、一体どのようなものなのでしょうか? 話を聞いている人 川野祐司(かわの ゆうじ)教授 / 大分県出身。九

サイバー攻撃から身を守る方法|慶應義塾大学大学院 砂原秀樹 第1話

取材・文/鈴木俊之、写真/荻原美津雄、取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部) サイバー空間には危険がいっぱいです。 開けた途端、コンピュータに侵入してしまうスパムメール。 本物そっくりにつくられた偽ウェブページ。 集団や国家ぐるみで社会の混乱を図ろうとするハッカー集団等々。 この記事を見ているあなたのスマホやパソコンも、すでにおそろしいウイルスに侵されているかもしれません。 そんな時、頼りにしたいのがサイバーセキュリティです。 そんなサイバーセキュリティについ

会社軸ではなく自分軸で生きることが、老けこみを防ぐ?|シニアビジネスプロデューサー・村田裕之 第3話

スマート ・エイジングに欠かせない行き先と用事村田先生は脳トレのような事例を挙げつつ、スマート・エイジングの鍵は予防にあると語ります。認知症や病気、ケガの予防をし、寝たきりにならないようにすることで健康寿命を延ばすことがスマート・エイジングの肝。そして、そのために必要なキーワードが “きょういく”と “きょうよう”なのだそうです。 村田氏: 「私はシニアの皆さんに、退職したら  “きょういく”と “きょうよう”が  必要ですとお話ししています。  これは教育と教養ではあり

人生100年時代に賢く歳を重ねる方法|シニアビジネスプロデューサー・村田裕之 第2話

65歳以上人口が3,515万人を突破し、急速な高齢化が進む日本。ネガティブに捉えられることも多い高齢化を、“アクティブシニア”の誕生として新たなビジネスチャンスであると説くのが東北大学の村田裕之先生です。 中高年の女性向けフィットネスジム『カーブス』や高齢者向けの携帯電話『らくらくホン』などのヒットに関わってきた“シニアビジネスの第一人者”に健康で賢く歳を重ねるための秘訣を聞きました。 介護の苦労が、健康意識を高める事業を始めて4~5年経つとノウハウが蓄積されヒットし始め

人類の夢・不老不死とアンチエイジング|第1話 資生堂 アドバンストリサーチセンター主幹研究員 江連智暢

取材・文/河鐘基、写真/荻原美津雄、ロボティア、取材・編集/FOUND編集部 人生100歳時代のアンチエイジングすべからくほとんどすべての生命にとって、「老い」は避けられない運命のようなものです。人類はその運命から逃れようと、太古の時代から実に多くの努力を傾けてきました。 中国の秦の始皇帝は、不老不死の霊薬を探すために数千人もの若い男女を探索に送りこみました。古代オリエント最大の文学作品とされる『ギルガメシュ叙事詩』にも、永遠の命を求める英雄たちのストーリーが描かれていま