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連載|OPINION

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『連載|OPINION 社会のココを深く掘る。』は、社会にある様々なテーマにスポットライトを当てて、第一人者などに頭の中にある考えを聞きにいくインタビュー企画です。
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#人工知能

目先の結果ばかりに囚われてはいけない|慶應義塾大学大学院理工学研究科・鹿野豊 後編

前回、鹿野先生に、 「ハードウェアーの開発も大切だけれど、ニーズを探すのもとても大切だ」 というお話を聞きました。 この「ニーズを探す」というのは、誰がどうやって探せばいいのでしょうか? やはりここも専門家の手に委ねればいいのでしょうか? 人工知能と量子コンピューター、いよいよ連載最終回です。 鹿野豊(しかの・ゆたか) 慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任准教授。1984年神奈川県生まれ。2011年東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻博士課程修了。博士(理学)

超高速のパソコンを何に使うかが問題だ|慶應義塾大学大学院理工学研究科・鹿野豊 中編

取材・文/鈴木俊之、写真/荻原美津雄、取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部) 量子コンピュータと人工知能に関するこの連載、前回のインタビューでは、量子コンピューターを動かしている「量子とは何か?」を中心にお聞きしました。 今回は、2度にわたって起こった「量子コンピュターブーム」の第二期についてお聞きしたいと思います。 前回に引き続き、慶應義塾大学の鹿野先生にお話をうかがいます。 鹿野豊(しかの・ゆたか) 慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任准教授。1984年神奈川県

物理が苦手な人のための、量子コンピューター入門|慶應義塾大学大学院理工学研究科・鹿野豊 前編

取材・文/鈴木俊之、写真/荻原美津雄、取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部) 今、世間では、人工知能や機械学習、そしてディープラーニングなどの分野に注目が集まっています。 そんな中で関心が高まっているのが、「量子力学」という学問を利用した「量子コンピューター」というデバイスです。 なんだか一見難しそうな話に聞こえるかもしれません。取材前の私もそうでした。 しかし取材を終えてから、「量子コンピューター」は、単に頭のいい学者や研究者の中だけで語られるものでは決してなく、

人工生命がつくる、ほんとうのユートピア?|第4話: 東京大学広域システム科学系教授/人工生命研究者・池上高志教授

文/吉田真緒、写真/荻原美津雄、取材・編集/FOUND編集部 第3話では、企業や社会にとって大切な視点を人工生命の話をまじえながら語ってもらいました。今回、第4話において、池上先生は、人工生命、人工知能、そして人間や地球の運命についてまで語ってくれています。自律性を獲得した人工生命というものが存在したとしたなら、わたしたちには、どんな未来が待っているのでしょうか? 人類が生き延びればいいとは必ずしも思わない編集長: 先生が語られていた言葉で印象的だったのは「人間というのは

人工知能の先の世界をいく人工生命とは何か? Beyond AI 第1話:東京大学広域システム科学系教授|人工生命研究者・池上高志教授

文/吉田真緒、写真/荻原美津雄、取材・編集/FOUND編集部 「生命を人工的につくる」とはどういうことなのでしょうか? まさか、映画「ブレードランナー」や「ターミーネーター」に出てくる、心が宿っている(ように見える)アンドロイド? のようなものをつくるということ? そこで、人工生命の第一人者である池上高志教授に、このことについて教えてもらうことにしました。 取材を終えた後、編集長からこんな感想が。 「なにか、脳みそをかち割られる感覚を覚えた」。また、同行したFOLI

企業が見るべき、人工知能の先にあること|第3話 東京大学広域システム科学系教授/人工生命研究者・池上高志教授

文/吉田真緒、写真/荻原美津雄、取材・編集/FOUND編集部 コンピューターにできないのは、長く生きようとすること編集長: 人間にできてコンピューターにできないことのひとつに、“直感”があるのではないかな、と思います。直感も人工生命の研究対象になるのでしょうか? 池上: どうでしょう。直感って答えがまったくないところに急に浮かぶのではなく、既にある膨大なデータのなかから、どうやって答えへの道筋をつくるかという問題に僕には思える。 だから逆に、直感に見えるものは、すぐにつ

人工生命と人工知能は、何が違うのか? 第2話:東京大学広域システム科学系教授|人工生命研究者・池上高志教授

文/吉田真緒、写真/荻原美津雄、取材・編集/FOUND編集部 第1話では、私たちにとって、これまであまり馴染みのなかった「人工生命」の基本について教えてもらいました。 その基本をごくごく簡単に言うと、人工生命とは、「生命という概念を更新し続けながら研究するもの」「生命に近いもの」「生命の進化の過程はどうふるまわれてきたか、あるいはふるまわれるかを研究するもの」ということが、わかりました。 抽象的かつ哲学的に感じられる概念も、ビジュアルと一緒に説明してもらうと、少しずつ手

栗原 聡(慶應義塾大学理工学部教授)| 第1回 ぼくたちは本当に人工知能を理解しているのか?

慶應義塾大学理工学部教授・栗原 聡教授インタビュー 目次 第1回 ぼくたちは本当に人工知能を理解しているのか? 第2回 人工知能と生きる未来 「人工知能(AI)」という言葉が、わたしたちの生活の中のあちらこちらで騒がれるようになっています。 街を歩いていても、テレビやネットを見ていても、「人工知能=AI」の文字を見ない日はない、と言ってもいいくらいではないでしょうか。 ビジネスの現場でも、「人工知能」はパワーワードになっています。 世界中の多くの企業も「人工知能」に注