【連載】今さら聞けない投資用語「ROE」とは?

FOLIOのテーマ投資では「アニメブーム(セレクト)」「テーマパーク」「京都」をはじめとした全90以上のラインナップを扱っており、今回は「ファンダメンタル分析」カテゴリに分類されている投資テーマの中から「高ROE」に関連する投資用語「ROE」の重要性ついて解説していきます。

「ROE」という用語を知っていますか?

ここ数年で「ROE」を新聞や雑誌で目にする機会が増えたのではないでしょうか。ROEとは、「Return On Equity」の略で、「自己資本利益率」のことです。

以下の計算式で示すことができます。

ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

例えば、ある企業の当期純利益が10億円で、自己資本が100億円の場合、ROEは10%と計算できます。

ROEは、株主の持ち分である「自己資本」に対して、どれだけ企業が最終的な「利益」を生み出したかを示した指標です。

つまり、企業のオーナーである株主からすると、投資している企業の収益性を評価できる代表的な指標のひとつです。

また、別の見方をすると、企業経営者が株主に対してきちんと責務を果たしているかを表すため、企業経営者の「成績表」の1つの項目と言えるかもしれません。

ROEが注目されるようになった理由

では、そもそもなぜROEは注目されるようになったのでしょうか?
理由は大きく3つあります。

1)海外投資家の増加

日本株式に投資する「海外投資家」の割合が年々増加していることが関係しています。実際、日本取引所グループ(JPX)が公表する『2018年度株式分布状況調査』(2019年6月26日発表)によれば、「外国法人等」の日本株式保有比率は足元では約30%となっており、ここ数十年で増加していることが分かります。

海外投資家は、自分たちが投下した資金が効率的に使われているかを厳格にチェックする傾向にあるので、日本企業はそれに対応する形で、企業経営においてROEを重要視せざるを得ない状況になりました。

2)伊藤レポート


伊藤レポートとは、2014年8月に公表された経済産業省の『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクトの最終報告書のことです。

伊藤邦雄一橋大学教授(当時)がこのプロジェクトの座長を務めていたので、通称『伊藤レポート』と呼ばれます。

伊藤レポートは約100ページの分量があり、日本企業が持続的に成長して中長期的に企業価値を高めていくための課題を分析し、具体的な提言を行っており、その1つとしてROE 8%を最低限の目標値として掲げています。

多くの日本企業は、ROEを経営上あまり重要な指標とせず、低ROEを放置してきた傾向にあったため、大きな刺激を与えました。

3)コーポレートガバナンス・コード

コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業経営が利害関係者に対して適性になされているかをチェックするための仕組みや体制のことで、上場企業が守るべきコーポレートガバナンスに関する行動規範(コード)が、「コーポレートガバナンス・コード」です。

金融庁と東京証券取引所により『コーポレートガバナンス・コード原案』が2015年3月5日に公表され、WEBサイトに掲載されました。

コーポレートガバナンス・コードの目的は、企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを通じて、会社、投資家、ひいては経済全体の発展にも寄与することで、例えば、原則5-2には収益力・資本効率等に関する目標の提示などを求めています。

「ROE」を指標として用いることは求めてはいないものの、ROEを用いた具体的な説明や目標値の提示を行う企業が多く存在します。

コーポレート・ガバナンスコードの改革の進展に伴い、企業のROEは全体として上昇しているという金融庁の調査結果もあります。

自己資本とは何か?

ところでROEの計算式の分母にあたる「自己資本」とは何でしょうか?

自己資本は、企業から見ると、返済する必要がない資金調達源泉なので、「自己」資本と呼ばれています。

反対に、借入金や社債などの負債は、返済義務がありますので、他人資本と呼ばれることがあります。自己資本を計算式で示すと以下です。

自己資本  =
資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金 + 自己株式 + 評価・換算差額など

・資本金:
会社が自分で有している資金
で、この金額は出資者が会社に対して提供した金額を元にして設定されます。

・資本剰余金:
企業が資本取引を行った結果生じる剰余金の一種
です。資本取引とは、資本を直接変動させるような取引のことで、例えば、株式の発行・増資・減資・社債の発行および償還・借入金の借入および返済などが含まれます。

・利益剰余金:
会社の活動によって得た利益のうち、社内に留保している額のこと
で、利益準備金、積立金、繰越利益剰余金などから好悪性されます。

・自己株式:
株式会社が発行する株式のうち、自社で取得した上で保有している株式のこと
です。「金庫株」と呼ばれることもあります。

当期純利益とは何か?

では、ROEの計算式の分子にあたる「当期純利益」とは何のことでしょうか?

「利益」、「収益」、「売上」など似ている用語が多く、混乱してしまいがちですが、計算式で示すと以下です。

当期純利益 =
売上高  ―
(売上原価 + 販売費及び一般管理費 + 営業外損益 +  特別損益 +法人税等)

・売上高:
会社がサービスや商品を提供することにより稼いだ、売上金額の総額のことです。

・売上原価:
販売する品物を仕入れたり、製造したりする際に必要となる費用のことです。

・販売費及び一般管理費:
商品や製品を販売するために直接かかる費用(販売費)と会社全般の業務の管理活動にかかる費用(一般管理費)の合計額のことです。「営業費」ともいいます。

販売費には広告宣伝費などが該当し、一般管理費には間接部門の人件費、交際費、交通費などが該当します。

・営業外損益:
営業外収益と営業外費用があります。営業外収益は企業が本業以外の活動により経常的に得ている収入を指し、受取利息、株式の配当金、有価証券売却益、不動産賃貸収入などがあります。

営業外費用は企業の本業以外で経常的に発生する費用を指し、支払利息、社債利息、有価証券売却損などがあります。

・特別損益:
特別利益と特別損失があり、企業の通常の営業活動とは直接関わりのない、その期だけの特別な要因によって発生した利益や損失のことです。

このように、当期純利益は、売上高に金融商品などからの収益と、特別要因によって発生した利益を足し、そこから仕入原価、広告宣伝費や人件費などの営業費用、金融商品などから発生する費用、特別要因によって発生した損失、法人税等を引いた正味の金額であることが分かります。

高ROEの注意点

ROEは業界・業種の特性によってその水準感は異なりますので、「何%以上のROEが良い企業である」または「何%以下が良くない企業である」と一概に評価することはできない点には注意が必要です。

国際比較、競合比較、過去比較など相対的に判断する必要があります。また高ROEだからと言って、収益性が高い優良企業だと言えないケースがあります。

ROEが高いということは、分母の「自己資本」が小さいか、分子の「当期純利益」が大きいことが考えられますが、どういう理由で小さいのか? 大きいのか? という点に注目することが重要です。

1)「自己資本」が小さいケース

自己資本が小さいということは、主に他人資本(借入金や社債)を主軸にして企業経営がなされている可能性
も考えられます。

事業が順調な時はあまり表面的になりにくいですが、急激に業績が悪化した場合には、借入金などの返済(資金繰り)に苦しむことが予想されます。

2)「当期純利益」が大きいケース

当期純利益が大きいことが一過性のものだと優良企業とは断定できません。


当期純利益が、定常的に大きければ問題ないのですが、単年度の特別要因によって発生した利益(特別利益)の場合には継続性を期待するのは難しいため、過去数年の推移にも注視する必要があります。

結局は、企業経営においては「自己資本」と「当期純利益」のバランスが重要ということを示唆しています。

ROEは企業の収益性を見るうえでは便利な指標ですが、上記で紹介したROEの指標を見る際の注意点にも気をつけて投資判断をする必要がありそうです。

今回はFOLIOのテーマ投資で扱っている全90以上のラインナップの中から高ROEに関連した投資用語「ROE」についてお届けしました。

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