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第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?


いよいよ、お別れの時が近づきてきたようだ。

ブルベア先生は多くのことを教えたし、モネはさまざまなことを吸収した。

ブルベア先生は、これまで伝授した資産運用の知識について、モネへと質問する。まるでこれまで教えたことを、懐かしむかのように。

さて、ここで改めて、資産運用というものをまとめて表すと、それは一体、どんな意味を持ったものなのだろうか?

株式会社よ、もう一度

M:
すっかりお世話になりました。資産運用の世界というのは、難しいことだらけだと思っていました。

でも、学んでみると、実は、ジブンたちの生きている世界の土台のことばかりで、目からウロコが落ちる思いです。

B:
そうだろう、そうだろう。ではここでちょっと質問しよう。ズバリ「株式会社」というのは、どういう会社かな?


M:
それは、もう株式を発行して、投資家たちからお金を集めて、集めたお金で、ビジネスをおこして、利益をあげて、その利益を株主である投資家たちに分配する、っていう。これが株式会社ですよ。

B:
ほほう、凄いな。スラスラと解説できるようになったな。

では、もう1つ質問しようか。モネが生きている社会を動かしている仕組み「資本主義」とは、一体どんなものだかわかるかな?

M:
いやだなぁ、先生が教えてくれなかったことまで質問してきましたね。このことについては、ジブン、調べてみたんです。

資本主義っていうのは、経済の体制の1つなんです。

日本だけじゃなくて、アメリカでも、ヨーロッパでも、この地球上のいたるところで活用されている仕組みです。

資本っていうのは、個人とか株式会社が持っているお金のことです。

資産といってもいいかもしれません。

このお金、資産、資本を社会の中で循環させるから、資本主義って、言うんだと思いましたよ。どうです、合ってますよね?

B:
モネ、すごいぞ。その通りだよ。じゃあ、資産運用って、言うことについてはどうだ。

モネが友だちに資産運用について説明するなら、どうやって説明する?

M:
資産運用は、大金持ちの資産家だけができるというものではなくて、小さな資産でもできるもの。

貯蓄や投資を通じて、お金に働いてもらって、お金を生んでもらう、というものです。ジブンらが慣れ親しんできた銀行預金もその1つです。

でも、その醍醐味は、株式投資、投資信託、社債、国債、不動産投資など、大きなリターンを狙ったり、リスクを考えたりしながら、効率よく資産を増やしていくことにあるのだろう、とジブンは結論づけてみました。

これ、合ってますか?

B:
うむうむ、間違いない。

さすが、ワシが教えた生徒というだけのことはある。

その調子で自分のお金を、株式投資や債券などで運用してみると、いろいろなことが見えてくるようになるんだ。

M:
本当にその通りだなと思います。

ジブン自身も、資産運用をはじめる前と後では、全く世界を視る目が変わってしまいました。

この世界は、なにをどうあがいても、お金と向き合うということからは逃げられない。

ならば、お金にしっかりと向き合って、「どうやって自分の持っている資産を育んでいくか?」を考えなければいけない、ということを知ることができました。

B:
うむうむ。ワシは涙が出てきたぞ。


資産運用をするのは、お金を増やすためだけではない

M:
それだけじゃないんです!

これまで、資産運用や投資ってどこかのずる賢いやつらだけが、影に隠れて儲けていることだと思い込んでいたんですけど、違ってました。

自分が資産を投じることで、その資産をどこかのだれかが活用して、価値を生み出す。

そして、その価値から得られた利益が自分やその組織に大きくなって戻ってくる。

結果、世の中にどんどん価値が増えてゆく、ということがわかったんです。

B:
その通りだ!

だから、世間では、お金のことを血液に例えたり、金融市場や銀行のことを経済の心臓などと呼んだりするわけだな。

M:
そうなんです。

今回、ジブンも株式投資をはじめてみて、一番に感じたのは、ジブンが世の中の一部になっている、ということでした。

つまり、ジブンの資産、ジブンのお金が世の中を動かしているんだな、って思えるようになったんです。

B:
モネ、それは、一番大事な感覚かもしれないぞ。

M:
はい。テーマ投資についての授業でも学ばせていただきましたけど、この世界はよくよく観察してみると、サービスやプロダクト、組織や個人のストーリーであふれていることがわかります。

でも、それらを支えているのは、資本と呼ばれるものです。

それを投資する側から見れば、それは資産ということになる。

つまり、資産運用をしているなら、それにまつわるいろんなストーリーを動かしているのが、自分の資産なんだ!って、肌で感じられるようになったんです。

だからジブンの場合、じっくりとお金も増やしていく。

と同時に、ジブンが好きだったり、応援したいと思える企業やテーマ商品が出てきたら、そこにお金を投資するということをやりたい!って本気で思えるようになりました。


サヨナラは言わない

B:
モネよ、すっかり成長してしまったな。何も知らないあの頃のモネはいなくなってしまったのか…。


M:
何を変な嘆き方をしているんですか。

これからも、どんどん勉強して、ジブンの応援したい会社やサービスやプロダクトや商品に資産をどんどん投資して、お金を増やしながら、社会の血液をまわしていきますからね!

B:
うむうむ、まったく頼もしくなったわい。

しばらく、ワシの出番はなさそうだな。

寂しいけれど、老兵はこの辺りで消えることにするか。ドロン。

M:
あれ、ブルベア先生、どこかに消えてしまったそ。参ったな。

ちゃんとお礼も言いたかったし、サヨナラも言いたかったし、あとちょっとだけ聞きたいこともあったのだけど…。

ま、でも、いっか。

時間を味方につけて、しばらく放っておけば、
利回りで少し大きくなったブルベア先生が、現れてくれるはずだからな。

B:
阿呆ッー!ワシはお前の資産じゃない。

M:
あ、でた…。

B:
モネ、お前は、資産運用と投資をする十分な知識はついている。これからしばらくは、実践につぐ実践しかない。

また、ワシのことが必要になったら、いつでも呼んでくれ。では、こんどこそ、お別れだ!

Good bye! サヨナラ!

M:
あっ、また消えちゃった。ブルベア先生、ほんとうにありがとうございました。また、すぐに会いましょうね~。

それまでに、ガツンとリターン狙って資産増やしておきますからね~。

B:
ポカリッ! だからガツンとリターンを狙ったらダメだって教えただろ!

M:
あ、また、でた…。ブルベア先生、もうサヨナラは言いません!

—— こうしてブルベア先生とモネの資産運用の授業は、幕を閉じたのだった。

資産運用というたった1つの活動を通じて、自分が働いてきた会社のことや、この世界の仕組みまで理解するようになったモネ。

そして社会に紡がれるストーリーを感じ、そこに投資をするという感覚を身に着けたモネ。

モネと、モネの資産が、この先、1年後、5年後、10年後、20年後、どのように成長していくのか? 

時間と複利の原理は、いかに働くのか? 

この続き、その答えはモネの味方についた時間の流れを待つよりほかはないのであった。

【 資産運用の図解教室 の 目次 】

第0章 お金を増やす、ということ 。
第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ?
第2章 投資で得られる未来?ー前編
第3章 投資で得られる未来?―後編
第4章 投資をすればお金は増えるの?
第5章 投資って、危険なの!? 〜リスクとリターンのお話
第6章 今の時代を考えると、預金?それとも投資?  
第7章 投資の種類のお話 〜前編〜 投資のいろいろ
第8章 投資の種類のお話 〜後編〜 投資のいろいろ
第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?
第10章 投資で「人生のお金」を設計する?
第11章ー前編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第11章ー後編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜
第13章 株式投資ライフをはじめよう
第14章 株を買う・売るってどうやるのかな?
第15章 株式の銘柄とチャートってなんだろう?
第16章 自分の株式投資のスタイルについて考える
第17章 株価以外の「株の価値」?その良し悪しを見極められる指標って?
第18章 誰かの一言で、株価が動くの?
第19章 株の分散投資って、どういうこと?
第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?

イラストレーション/浜畠かのう