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シェアリングエコノミー起業家・雲林院 奈央子 「お寺ステイ」でインバウンド観光市場に挑む・後編

(前編はこちら
活用されていないお寺のスペースを、イベントや宿泊のための施設として活用するシェアリングビジネスに挑む、女性企業家の雲林院さん。

立ち上げた会社は、東京に5名、高山の宿泊施設に5名が集う規模に成長し、協力をしてくれるお寺のネットワークも広がりつつあるそうです。

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前回はお寺とシェアリングエコノミーについて、おおまかなお話をお聞きしましたが、インタビューの後編では、海外旅行者にも人気というお寺ステイという試みについて、立ち上げ時の苦労や今後の展望について聞きました。

雲林院さんが株式会社シェアウィングを立ち上げたのは2016年6月のこと。

シェアリングエコノミー領域での起業を目指して勉強会などを行っていた頃に、学生時代からの友人であり、後に同社の共同代表となる佐藤真衣さんが、お寺に宿泊した経験をフェイスブックでシェアしていたことがきっかけとなって、2人で事業を始めることにしたそうです。

ゴールデンウィークに話を始めて約1ヶ月のスピード起業、その後株式会社ガイアックスから出資を受けるなど、一見すると順風満帆に見える門出です。

しかし、実は新しい挑戦を一般的なビジネスのフィールドとは異なるお寺と一緒になって進めるには、数々の苦労があったそうです。

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一筋縄ではいかないお寺さんとのビジネス

雲林院氏:
「檀家さんの減少や後継者不足で『このままではダメだ』とわかっているお寺さんは少なくありません。でも、実際に何かを始めるとなるとまったく話はちがってきます」

頭で理解していても、行動がついてこないという感じで、話をしてすぐに動いてくださるお寺さんはほとんどありませんでした。

この世界では相当の回数通って、長い時間をかけて、関係性を作らないと何も進みません」

ビジネスのフィールドでは経験があった雲林院さんも、お寺という特殊な世界では作法のちがいに苦労することがあったと言います。

一方で、そこが競合事業を行う会社に対しての一定の障壁となることが期待でき、早く始めてしっかりと続けてきたことがシェアウィングの強みになっているのだそうです。でも、一般企業の営業とは具体的にどんな点がちがうのでしょうか?

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勝てるパターンを作るのがコツ

雲林院氏:
「対企業の営業だとアポイントメント3回以内で案件のクロージングを目指すといった指標がありますが、お寺さん相手では無理(笑)。

住職は檀家さんに会って、1回に数時間話しをすることも珍しくないので、時間感覚がビジネスパーソンとはまったくちがいます。

地方のお寺さんを訪問すると2時間待たされて、その後5時間話す、といったことがありましたがこれがこの世界の普通です。

それを理解しないとダメですね。例えば大手企業がお寺さんに関わる事業を始めても、この時間感覚に気づくと『工数に見合わない』と言ってあきらめてしまいます。

私たちはそこにしっかりと取り組んできたので、今でこそ、イベントに協力してくださる所が30ヶ寺、宿泊ができる場所が2ヶ寺あります。

でも、事業を始めたばかりの頃は、私も佐藤もお寺さんの知り合いはゼロでした。

そんな中で、飛騨高山のお寺さんが、後継者が居なくて閉めてしまうという話を聞きつけて、飛び込みで話をしに行きました。

最終的にこちらのお寺さんがお寺ステイの宿泊の第1号になり、繁忙期の稼働率は8割を超えています」

お寺というビジネスパートナーとしては異色の存在と交渉し事業を広げている雲林院さんは「行動あるのみ。考えていても、経験値がたまらないと確実性が生まれないので、まずはやってみるしかありません」と話してくれました。

また、新しい業界だと知見が溜まっていないので、勝てるパターンをつかむまでに時間がかかるので、自分以外のブレーンをいかに多く作るかを大切にしているそうです。

弁護士、税理士、社労士、メディア関係者、そう言う人たちと一緒にやることが素早く事業を前に進めるコツなのだとか。そんなパワフルな彼女に、お寺ステイの今後の展望について聞かせてもらいました。

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日本のお寺の未来は明るい!

雲林院氏:
「まずは、イベント開催協力などを含めて、2020年までに100ヶ寺と提携を目指します。このうち、宿泊できる場所も10ヶ寺はあってほしいと思っています。

宿泊できるお寺さんについては、現在は9割が海外のお客様で、英語圏で人気のガイドブック『ロンリープラネット』を読んだり、口コミサイトの評判を見たりしていらっしゃることが多いようです。

今後は海外からのお客様だけでなく、地域の人や都市部から地方に行く人を集めたお寺での体験イベントなどを増やしていきたいですね」

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今回、お寺というテーマを通じて見えてきたのは、後継者不足や事業の採算が合わず、何も手を施さなければ急速に衰退してしまうという、日本のお寺の実情です。

そして、海外を初めとした観光客とのマッチングさえできれば、お寺とそこを中心にした文化が再び栄えることができるという希望でした。企業対企業ではなく、お寺対企業のやりとりとなると習慣のちがいや地域の特性が絡み合う複雑な世界という面もあるようですが、伝統文化の再興と新たな市場の開拓が両立されれば関わる人がみな幸せになれるはずです。

雲林院先生、今回はお寺の休眠施設を活用したシェアリングビジネスとインバウンド観光について、たくさん教えていただき、ありがとうございました!

取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真・編集/ 鈴木隆文(FOUND編集部)

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