【連載】2019年前半、スマホ決済の動きを5分で理解する

FOLIOのテーマ投資では「アニメブーム(セレクト)」「テーマパーク」「京都」をはじめとした全90以上のラインナップを扱っており、今回は「Pay和元年」の投資テーマに関連する「スマホ決済、キャッシュレス決済、Pay決済」について解説していきます。

2019年7月、富士山でさえキャッシュレス決済の輪は広がりはじめている…。そんなニュースが流れてきました。

富士山に登る登山者が、疲れて立ち寄った標高3000mを超える一部の山小屋でスマホ決済ができる時代がやってきたのです。キャッシュレス決済=Pay決済の流れは、今後、2020年の東京オリンピックに向けてどんどん加速していくのでしょうね。

やたらと “Pay”の文字が目に飛び込んできて混乱する?


さまざまなところで“Pay”の文字を見かけます。むしろ、いろいろなところでPayを見かければこそ、どのPayにしたら良いかわからなくなる、なんてことはありませんか? 

そもそもの話として、猫も杓子も「Payだの、キャッシュレスだの」、アチラコチラでこれほどまで騒がれているのは、どうしてなのか?

これ、みなさまもお気づきの通り、各社が、こぞってQRコード決済、キャッシュレス決済の覇権争いをしているからに他なりません。

そして、そうなると気になるのは、その裏側なのですが、これについては一言で言えば、キャッシュレス化が「お金の流れや経済活動そのものをより円滑にするポテンシャルを秘めているから」というのが答えのようです。

日本でキャッシュレス決済はひろがるの?

2019年7月12日現在の状況を見てみると、「PayPay / メルペイ / LINE Payが合同で最大20%戻ってくる!キャンペーンを開始」「300億円相当分を上限としてLINE上の友だちに1000円相当の”LINE Payボーナス”を送信できるキャンペーン開始」など市場に乗り込むさまざまなプレイヤーたちのニュースのほか、「はじまったばかりのキャッシュレス決済サービス”7pay”で、不正アクセスが発覚」など、キャッシュレス決済のセキュリティが不安視されるニュースなども流れてきましたね。

でも実際問題として、現時点での日本でのキャッシュレス決済の普及率って、どのくらいなのか? 現在進行系の頼れる数字は見当たらないため参考程度となりますが、2018年の経産省のレポート「キャッシュレス・ビジョン」を見てみてみると、日本がキャッシュレス決済の普及率において先進的な国ではないということが見えてきます。

2015年のキャッシュレス決済の普及率1位は韓国で89.1%をマーク、2位は中国で60.0%、3位はカナダで55.4%、4位はイギリスで54.9%、5位は51%でオーストラリアで、日本は10位で18.4%です。

でも、だからと言って、日本はこのままキャッシュレス決済の不毛地帯なのか?と言えば、そんなことはないと思います。

それを証明するかのように、SNSツール・ツイッター創業者であり、カード決済・決済ソリューションを提供するスクエアの創業者でもあり、カリスマ経営者として名を馳せるジャック・ドーシー会長兼最高経営責任者(CEO)は今年3月の来日時に、「日本は99%が中小企業だ。彼らの決済手段をシンプルにし、キャッシュレス化を促したい」とこんな言葉を残しています。つまり、日本という市場に大きな可能性を感じている、とも受け取れることができますね。

とは言え、未来は未来。あくまで、この発言は、ビジネスマンである彼が未来に期待を寄せる発言でしかないでしょう。

では、キャッシュレス決済は、どこへ向かおうとしているのでしょうか? 率直なところを言いますと、その答えは誰にもわからないはずです。でも、その潮流を感じ取る方法はあります。それは、ニュースを拾って一望するということ。例えば、今年のはじめからのキャッシュレスにまつわるトピックスを拾ってみる。すると、やはり何か、流れのようなものが浮かび上がってくるはずなのです!!

そんなわけで、本エントリーでは、2019年の半年間1月〜6月までに世に放たれたトピックスを振り返り、ここに並べてみることにします。

キャッシュレス決済にまつわるこれらのニュースから、一体どんなものが浮かび上がってくるのか?

2019年1月
スタジアム内での売買が全てキャッシュレスに?


昨年末に行われたPayPay(ペイペイ)の支払いで20%が戻ってくる「100億円あげちゃうキャンペーン」では、キャンペーン最終日にはアプリ所持者が190万人にまで達するという脅威的なユーザー数増加を記録し、年明けてもこのニュースは方々で語られていたように思います。

そんな大きなニュースの後、年明け1月に流されたのは、楽天が発表した「スタジアムにおける完全キャッシュレス化」というニュースでした。楽天傘下のプロ野球とサッカーチームのスタジアムにおいて、決済手段を「完全キャッシュレス化」して、それを「スマートスタジアム」とするという発表です。

※ 写真はイメージです。

つまりプロ野球チームの「東北楽天ゴールデンイーグルス」のホームスタジアムである「楽天生命パーク宮城」、そしてプロサッカーチーム「ヴィッセル神戸」のホームスタジアムである「ノエビアスタジアム神戸」が、完全キャッシュレス化されていくというそんな構想です。

チケット購入やグッズ購入、そして飲食物の購入など、スタジアム内で行われる購買活動の全てがキャッシュレス決済で行われる。

※ 写真はイメージです。

何万人もの人が集う場所で現金が使えなくなるというのだから、これはすごい試みですよね。スポーツ観戦を通じてキャッシュレス化を実際に体験すれば、確かに「キャッシュレス決済」自体には慣れていくように思います。

2019年2月
日本銀行、2億枚のお札印刷枚数を減らす

2月3日、キャッシュレス経済の潮流を大きく感じさせるニュースが流されました。「日銀が印刷局に発注する1万円札の発注量が2004年以降で過去最少になった」というのです。

2018年度と2019年度を比べると、1万円札の紙幣印刷の発注を2億枚も減らすのだそうです。

どうしてなのか? この動きはどんなことの表れかと言うと、以下の前提の上に2つのことが考えられます。

まず日銀は4、5年に1度、1万円札を廃棄してお札の品質を管理しています。品質管理ということは、お札の破損が減れば、その分新札の発注も減ることを意味します。これが前提です。

その前提の上で、「タンス預金が広がっていること」「キャッシュレス決済が社会的に広がっていること」、これらの表れとして新札が刷られない可能性が考えられます。つまり、生活者たちがショッピングとかレストランなどで現金を使わない動きが出てきている。

こういう動きが出てくるとどうなるかと言うと、お札の破損が減る。新札の需要が減る。つまり、新しいお札を発注する必要がない。ということになってくるわけですね。

2019年3月
政府がキャッシュレス決済を後押しする

3月27日、2019年度の予算案が、参院予算委員会によって、採決・可決・成立しました。予算は過去最大の101兆円4571億円となったのですが、注目したいのは、消費増税対策としてキャッシュレス決済する人に向けて、ポイント還元分に2798億円を計上している点です。

もちろん、ここには、消費の落ち込みを防ぐという狙いがあります。同時に中小・小規模事業者がキャッシュレス決済をする際に必要とする端末などの導入費用も3分の2は国が補助するのだそうです。

同3月この動きに乗じる形で、日本市場に新端末を投入したのが、前述のジャック・ドーシー(ツイッター創業者)がCEOを務めるスクエアです。スクエアは、「電子決済が可能なスマホ決済サービス」のパイオニア的な存在。

スクエアが今回リリースする端末は2種類です。1つは、非接触型ICチップ・フェリカに対応した読み取りが可能な端末、そして、もう1つは、POSレジスターの代用端末としてiPadが使えるようになるタブレットはめ込みスタンド。

スクエアの狙いと考えられるのは2つ、「消費税引き上げ後の新規顧客獲得」と「QR決済への対抗策」ではないでしょうか。

ひとつは、消費税引き上げを控え、政府はキャッシュレス化を推進するために、クレジットカードや電子マネーで決済した場合に還元ポイントを提供しようと動いています。

そうなると、地方の小売店や高齢者など、新規顧客を獲得するチャンスとなりえます。さらには、ラグビーW杯や東京五輪などのイベントを控え、インバウンド需要を取り込もうと考える小売店にとっては都合のいい決済ツールになるためです。

もうひとつは、スマホがあれば情報の表示や読み取り装置となるQRコード決済は初期導入コストが安く、QRコード決済が広く普及することでクレジットカード決済やそれに必要な認証装置の導入が面倒がられる可能性があります。

その前に手をうち、スクエアの簡易端末で利用者を囲い込もうという狙いがあるのではないでしょうか?

2019年4月
人々のキャッシュレス決済への意識は高い?

社会は本当にキャッシュレス化しているのか? 世間の皆さんは、どの程度、「キャッシュレス決済」というものを意識しているのだろうか?そんな疑問は、多くの人がぼんやりと抱いているのではないでしょうか。

この疑問に答えるようなキャッシュレス決済に関する意識調査(「生活者のキャッシュレス意識に関する調査」)が、4月18日、電通によって発表されました。結果、「世の中はキャッシュレス決済に向かっている」と答えた人が86.9%にのぼり、大多数の人が社会がキャッシュレスに向かっていることは、肌でひしひしと感じている様子。

確かに、街のどこを歩いていても「キャッシュレス決済」「〜〜Pay」の文字を目にするので、そう感じるのは当然のことかもしれません。

さらに同月、北海道では函館商工会議所が、キャッシュレス化を推進すべく、「キャッシュレスタウン函館」事業を始めることを宣言しています。消費増税に伴うキャッシュレス決済への関心の高まりや、増加する外国人観光客に対応すべく、独自のプランを打ち出しています。

その一環として中国で爆発的な利用者を誇る「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」での決済も利用できるようになる構想です。

たしかにインバウンド需要が見込める訪日外国人の数が増加していくだろうと言われている中で、キャッシュレス決済を活用する外国人を取りこぼしてしまうのは、ビジネス的な機会損失にほかならないわけですから、地域が一体となって「キャッシュレス」を謳うのは、地方都市の1つの戦略としては大いにアリと言えるはずです。

2019年5月
QRコード決済のシェア争奪戦の激しさを表すサービス登場?

5月16日、様々なシステムの開発を手掛けるデジタルガレージという会社が、新たな決済システムを発表しました。

同システムがユニークなのは、ユーザーである店舗にとってのQR決済の不便さ、煩わしさに焦点を当てている点や、乱立するQRコードをまとめようとしている点にあるでしょう。

発表されたのは、「クラウドペイ」という複数のQRコードを束ねることができるサービス。d払い、アリペイ、ウィーチャットペイに加え、今後サービス提供開始予定のLINE Pay、メルペイなど、複数あるQRコード決済のQRコードを1本化できるので、 店舗側にとってもユーザー側にとっても、シンプルなオペレーションでキャッシュレス決済導入に対応できるというわけです。

つまり、このクラウドペイは、言い換えれば、「複数QRコード決済を共通化する」というサービスになるわけです。このようなサービスが出てきた背景には、沢山のQRコード決済が乱立しているという状況があります。

見方を変えれば、日本国内のQRコード決済のシェア争奪戦がいかに熾烈かを物語っているサービスと言ってもいいかもしれませんね。

2019年6月
巨大経済圏

6月5日、楽天ペイメントと東日本旅客鉄道(JR東日本)がキャッシュレス化の推進に向けて連携することを発表しました。具体的には、2020年春ころから「楽天ペイ」アプリ内で、「Suica」の発行やチャージができるようになるという内容です。

「楽天経済圏」と言われるほど、大きなお金を動かす楽天(2018年12月期・売上収益 1兆1014億円)と、7587万枚(2019年3月31日時点)のICカード発行をするSuicaの連携は、実はかなり大きなビジネスインパクトを生む可能性を秘めているのではないでしょうか。

Suicaを組み込むことで、今後はQRコード決済の楽天ペイで電車やバスなどの交通機関を利用できるようになる。さらに、楽天ペイは従来の読み取り方式のQRコード決済の枠にとどまらずに、店舗や駅の読み取り端末にスマホをかざして決済可能な「タッチ型」にも対応できるようになってしまう。

つまり、楽天経済圏の中にSuicaユーザーが取り込まれる可能性、Suicaで行われる経済活動に楽天ユーザーが取り込まれる可能性、それぞれが高まったとも捉えられる。そう考えると、「楽天ペイ x Suica」が、キャッシュレス決済の大きな潮目になることは十分にありうると思われます。


さてここまで、2019年がはじまって半年の間に出されたキャッシュレス決済にまつわるニュースの一部を列挙したのですが、たった半年の間にも、バラエティーに富んだ内容のニュースが流れてきたのが分かっていただけたのではないでしょうか?

きっとこれらのニュースの多様性は、社会がキャッシュレス化に向かっている証にもなるでしょう。また今年後半の半年間も、きっと、私たちを驚かせるようなニュースも流れてきそうです。

ぜひこの先、「キャッシュレス決済」「QRコード決済」「〜〜pay」のニュースには、皆さん自身のアンテナを研ぎ澄ませて、キャッチしてみて下さい。きっと激動の変化、覇権争いの行方が追えるはずです。

今回はFOLIOのテーマ投資で扱っている全90以上のラインナップの中から「Pay和元年」と「キャッシュレス・ジャパン」に関連した動向をお届けしました。

他にも、FOLIOのテーマ投資では、「隠れ高収益企業」「もしバフェットが日本株を買ったら」「キャッシュリッチ企業」など、様々なタイプのテーマを取り扱っております。

※連載「テーマで世の中を知る」の記事一覧はこちら
※本連載では、時流に合わせて、様々なトピックスを取り扱っていきます。次回エントリーにもご期待ください。

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