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第2話 私はこうして2つの道のプロになった |お金と心のバランス、取れてますか?

文/山下咲良、漫画/真田ちか、取材・編集/FOUND編集部

投資とヨガと、一見、相反するように見えるものにプロとして携わってきた山下咲良さん。

彼女が人生を賭して扱ってきたのが「お金のこと」と「心のこと」です。
では、そんな彼女 は、具体的には、どんな道を歩んできた人なのでしょうか?

連載第2回では、彼女のプ ロフィール、歩んできた人生のあらましについて
語ってもらいましょう。

はじめての「投資」、「投資」との出会い

私が、初めて投資をしたのは学生のときでした。恥ずかしながら、その時は、「株ってな に?」「投資ってなんだろう?」と投資のことも、金融のことも全然知りませんでした。

でも、「お金が増える」ということに興味を持っていた私はひとまず本屋さんに行くと、 入門書を買ったのです。でも、本は手にしたものの全くイメージが沸きません。

「どうしよう?」と思いあぐねていたところ、投資に詳しい知人に「実際に自分でやってみるのが一番勉強になる」と言われました。そして、私は、ついに初めての株を買うことになったのです。

買ったのは、当時流行っていたIT企業 の株でした。時は、アメリカがITバブルに沸いていた時代です。私が買った株は5万円でした。そして、その株が上がり続けて24万円まで上昇したのです! そのときの気持ちは天に も舞い上がる気分で、「投資って、なんて素晴らしいんだ」と喜びました。

しかし、その喜びもつかの間、3ヵ月後には、その株は8,000円まで下落してしまい、私は涙することになるのです。

これは、私が初めて相場に翻弄された苦い体験でした。 私が、そこで得た教訓は、「投資って、決して甘いものじゃないんだ」ということでした。

そして、私が次の行動に取り入れたのは、「情報収集」でした。 当たり前のことですが、個人でやる投資は、自分のお金を使います。

自分のお金となると、「なぜ上がったのか?」「なぜ下がったのか?」が急に気になるようになってきます。

すると、それまで真面目に読むことも少なかったニュースや新聞をじっくりと見るよ うになり、値動きの「原因・理由を探る」ということをするようになりました。 「原因・理由を探る」を噛み砕くと次のようになるかと思います。


1) 「なぜ上がったのか?」「なぜ下がったのか?」の理由・原因を自分なりに考えてみる

2) 理由・原因が見当もつかない場合は、関連情報を集めて再び考えてみる

3) 情報収集をして、理由・原因を考えるということを、繰り返し積み重ねていく

4) 「これが本当の理由かな?」と物事・出来事の背景を浮かび上がらせる

5) 「次はきっとこうなるのではないか?」と仮説を導き出す上記を繰り返すことで、どんどん仮説の精度が上がり、投資ではとても大切な「先を見抜 く力」につながっていく

こうして思い返してみても、自分で投資することが、やっぱり一番の勉強になります。そして、投資が上手になる、一番の近道でもあるとも思います。

普通に生活をしていたら、なかなか「投資の面白さ」「資産運用の大切さ」には気づけま せん。私自身も、実践の中で、投資の面白さ、資産運用の大切さに気づかされていったのです。

そして、様々な方法を試す中で、安定的に資産を増やす資産運用の方法、
投資の成 功のカギを自分なりに見つけてきたわけです。中でも、私が投資を通して得た最大の気づきはお金を増やすには、「自分が働いて収入を増やす以外の選択肢があるんだ!」ということでした。

それは、「お金に働いてもらう」 という選択肢です。

そして、「お金を働かせることでお金が増える仕組み」がわかると、「お金を貯金してそのままにしていることがもったいない」と感じるようにさえなってくるの ですね。

ただ、投資は、甘くありません。私が最初の株で失敗したように、投資にはリスクはつき ものなのです。投資には大きく損することも起こりうるのです。

想定外なことが起こって値下がりしたかと思えば、突然のポジティブサプライズで値上が りしたりする。市場は、常に上がったり下がったりを繰り返す。そんなことに一喜一憂し ていては、心が疲れてしまいます。

事実、投資をはじめたばかりの私は、市場に振り回されっぱなしで、心の乱れから高値づ かみ(高い値段で株を買ってしまうこと)をしてしまったり、狼狽売り(狼狽して焦って売ってしまうこと)をしてしまうなど、数え切れないくらいの失敗を重 ねてきたのです。

私は数多くの失敗を繰り返したことで、投資の成功のカギのひとつが、振り回されない心のあり方にあると知るようになったのです。

つまり学生時代の投資体験を通じて、私は「投資の世界では、常に平常心を保つということが大切だ」ということを学んだのでした。投資と心は一見関係ないように見えますが、通じています。

そして、これは後に真剣に取り組むようになるヨガの哲学にも通じる心の持ちようだったのです。

私の「投資脳」は、どこでどうやって鍛えられたか?

私の投資生活は、学生時代だけでは終わりませんでした。むしろ学生時代の投資体験は、私の投資人生を加速させました。

投資や資産運用に興味を持った私が、大学卒業後に入社したのは、外資系投資銀行でした。この会社では、証券部門に配属され、日々変化する市場と奮闘することになります。

私が 入ったチームは、世界各国の金融・経済・政治に関する第1報が24時間365日飛び込んでく るなか、世界で起こっている事をいち早く把握し、顧客に最新の市場動向や投資アイデア 等を提供していました。

今後の展開を見抜き、プロフェッショナルとしての付加価値をいかに生み出すか考え行動し続ける、とてもやりがいのある仕事でした。

10年近くこの仕事をやり続けることで、プロとしての「投資脳」が鍛え上げられていったと言っても過言ではありません。

少し話は逸れますが、私が入社して間もなくして起こったのが、あの「リーマンショック」でした。今になって振り返ってみれば、あの頃、金融業界は激動の時代真っ只中にあったのです。

日本の一般的な企業では信じられないような話も起こりました。向かいのデスクでさっきまで朝食を食べていた先輩が呼び出されたと思ったら、そのまま席に戻ってこない。

「あれ、どうしたのかな?」と思っていたらなんとクビになっていた! そんなこともしばしば起こる世界だったのです。私も、最初はそんな出来事に戸惑うばかりでした。

しかし、私が身を置いていたのは、 100年に1度と言われる金融危機。

この激動を最前線で経験していたお陰なのか、様々な状況を乗り越えていくうちに、自分の心が知らぬ間に鍛えられていったようです。そして、今となっては、大抵のことには動じない肝がすわった女になったというわけです。

でもこのことが、私の投資に役立っていることは間違いありません。

心身のバランスを整えてくれたヨガと出会う

私とヨガとの出会いは、前述した投資銀行時代の時代です。

ヨガをやることになったのは、忙しい毎日を過ごしていた時、ちょっとしたことがきっかけでした。

仕事帰りに、家の近くのヨガスタジオにふらっと立ち寄ってみることにしたのです。初めて体験レッスンを受けてみると、 その場で、体と心がすっきりしたことが実感でき、嬉しくなりました。

しかし、本当の感動が押し寄せたのはその後でした。なんと、予想外に、仕事の効率がグンと上がったのです。

そこから、私のヨガライフがはじまりました。私は早速、スタジオの会員になると、定期的にヨガをするようになったのです。

ヨガへの感動は、最初だけのものではありませんでした。ヨガが仕事と日常生活に与える効果の素晴らしさには、多くの驚くことがあったのです。

例えば、海外出張が続き長いフライトと時差で、疲れて体内時計がズレてしまっていたときには、ヨガのアーサナ(ポーズ)と呼吸を取り入れることで体調をリセットすることができました。

仕事に夢中になり過ぎて体調を崩してしまったときには、ヨガの自分自身と向き合う時間の中で、前のめりになり過ぎている気持ちを落ち着かせて体と心のバランスを元に戻すことができました。

また、仕事で大きな問題に直面したときには、ストレスや感情の乱れを自在にリリースし、冷静に的確に対応出来るようにもなったのです。それから、私は多くの人にこのヨガというものを伝えたいと想いを募らせるようになったのでした。

そして思い立っ たが吉日、私は、ヨガ・インストラクターになることを決意し、行動を開始します。

まず私は、ヨガインストラクターの資格である「全米ヨガアライアンス公認RYT200」を 取得。その後、サンタモニカのパワーヨガ創始者の一人である
ブライアン・ケスト氏 (Bryan Kest)のもとで学び、ゴールデン・ブリッジ・ヨガ(Golden Bridge Yoga)でクンダリーニ/瞑想(Kundalini/Meditation)を学び、インドのリシュケシュではハタヨガの修行を行いました。

ヨガの奥深さ、ヨガの魅力は、何と言っても、3000年の歴史に裏打ちされています。このヨガの魅力が、私を突き動かしていったのです。

そして、今では、ヨガインストラクター兼ヨガスタジオの運営をするまでになってしまったというわけです。

現代に生きる私たちが活かせるエッセンス

先人 たちの知恵の集大成であるヨガには、現代に生きる私たちが活かせる
エッセンスが沢山詰 まっているのです。

ヨガを通じて、わたしは自分のやりたいことが明確になり、以前よりストレスが減り、悩むことがなくなりました。たまに落ち込むこともあるけれど、常にいつもの自分に戻ることが出来るようになったのです。

現在私は、投資・資産運用を活用してお金を増やしながら、ワクワクできる好きな仕事をして、一児の母として、自由で自分らしい毎日を過ごしています。

私の素晴らしい毎日の大きな支えになってきたのは、ヨガという存在であることは間違いありません。

そして、 これからの人生においても、私とヨガは切っても切れない関係にあり続けると思います。以上が、私と投資、私とヨガの物語です。

次回からは、もうすこし具体的に、それぞれに知恵をお伝えしていきたいと思いますので楽しみにしていて下さい。

つづく


お金と心のバランス、取れてますか?

第1話「投資の道」と「ヨガの道」
第2話:私はこうして2つの道のプロになった