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資産を増やすには生活習慣や日々の意思決定の見直しがカギ|ファイナンシャルプランナー 山口京子 前編

今年6月にメディアで大きく報じられたいわゆる「老後2000万円問題」の影響もあり、足元で資産運用セミナーやお金に関する勉強会に参加する比較的若い世代が増えているそうです。日本では、お金に関する専門家である「ファイナンシャルプランナー」に相談することは、まだまだメジャーにはなっていませんが、時代の流れとしてはどんどん注目される存在になっていくのかもしれません。
今回はファイナンシャルプランナーとしてテレビや雑誌でも活躍されている山口京子さんにお話を伺いました。元々はフリーのアナウンサーをされていた異色の経歴で、一体どういう経緯でファイナンシャルプランナーになったのか?お金持ちにはどんな特徴があるのか?どういう投資手法が有効なのか?などなど色々質問させていただきました。前編、後編の2回に分けてお届けしますので、ぜひお付き合いください。

山口京子 / ファイナンシャルプランナー
ヘソクリから保険、資産運用まで、やさしく解説する専門家
https://kyoko-yamaguchi.com/
★大学時代からテレビ、ラジオに出演し、卒業後はフリーアナウンサーに。
★2000年FP資格習得。証券外務員、損保、生保、少額短期保険、宅地建物取引士の資格も取得。
★執筆:オールアバウト、東洋経済オンライン等
★TV出演:「ミヤネ屋」、「バイキング」、「サタデーステーション」他
★雑誌掲載:Forbes、女性自身、LEE、リンネル、日経Woman他
【今回の要点整理】
✓日本にはお金を「好き」とは言えない雰囲気が充満している。
✓小学6年生向けの課外授業では「投資」と「借金」の話が最も反応が良い。
✓親や先生がお金に対してネガティブなら、子供もネガティブになるもの。
✓資産を地道に増やしていきたいなら、習慣や意思決定を根本的に変えないといけない。
✓お金持ちは決断がとてつもなく早い。
✓良い営業マンは“押し売り”はせず、お客様をしっかり育ててくれる存在。

―ファイナンシャルプランナーとして色々な方の相談に乗られていると思いますが、投資に対する人々の意識は変化してきていると感じますか?

徐々に変わってきていると感じます。今までの相談内容は、「節約術」や「家計のやりくり方法」などがメインでした。しかし昨今、「iDeCo」や「つみたてNISA」のようなキャッチーな税制優遇制度が登場し、各種メディアで大きく取り上げられることによって、“投資”というものについて興味が出てきたという人がここ数年で着実に増えてきたと思います。

iDeCoは加入対象者が専業主婦や公務員に広がり、iDeCo(イデコ)という愛称をつけたことで注目されることになりましたが、実は個人型確定拠出年金は、2001年から始まった制度なんですよ。「そんな前からあった制度なんですね!」とみなさんビックリされます(笑)。

―個人型確定拠出年金ってそんな前からあったんですね!具体的にはどんな方が相談に来られますか?やはりお金に余裕のある富裕層が多いのでしょうか?

色々な方が相談にいらっしゃいますよ。相談内容は多岐にわたります。

例えば、
・宮殿のようなゴージャスな家に住んでいる方で保険の相談をしたいという方
・1960年代のクラシックカーを持っている方で高額な車両保険を掛けたいという方
・妻の浪費癖を何とかしたいという方
・貯金が10万円しかないという50代のご夫婦
・各種ライフイベントにどれくらいお金がかかるのか知りたい多忙な医師
・借金を整理したい方
などです。

―本当に多種多様な相談ですね。みなさんやはり「お金」のことには興味があるんですね!

いやいや、それがそうでもなくて、ご夫婦どちらかがまったくお金に興味がない人もいるんです。お金に無頓着というか、お金ということが自分の意識のなかに全く入ってないようなのです。でも、大方の人はそれなりにお金には興味があるはずです。でも、誰もそれは口には出さないですよね。日本には、お金を「好き!」と言えない雰囲気が充満していると感じます。

私は年1回、卒業間近の小学6年生向けに課外授業をしています。そこで、「このなかでお金が大好きな人はいますか?」と聞くのですが、もじもじしていて手を上げない子が多いんです。

その授業では、
・お金は使い方を一歩間違えると、自分や人を傷つけることになる。
・お金は正しく使えば人の役に立てる、そして自分の成長にもつながる。
・投資は安心で安全で便利な社会づくりに積極的に貢献することであり、働かないで稼ぐことは決して悪いことではない。
・「借金=悪」ではなく、良い借金と悪い借金がある。
ということを伝えています。

「投資」と「借金」の話が最も反応が良いんですよ。お金の話は小難しいとオトナにも敬遠されがちですが、分かりやすく伝えれば、小学生でもきちん理解できるんです。

―小学生でも投資のことがきちんと理解できるとは驚きです。ちなみにお金の考え方について地域性みたいなものはありますか?

私は全国にお客様がいらっしゃいますが、面白いくらい「お土地柄」というのが出ますね。例えば、東海地区では静岡は投資好きな方々が多いことで有名ですが、「確かに!」と実感することも多いです。総務省が発表する家計調査を見ると、都道府県別データがあるので見てみると色々な発見があってとっても面白いですよ!

私は名古屋出身なのですが、名古屋は「現金第一主義」です。お金は貯めることこそが美徳で、借金は絶対にダメという風土すらあります。なので、マイホームも住宅ローンを組んで買うよりも、できればキャッシュ一括購入が理想的という人も多いのです。銀行に利息を払うのがもったいないという精神なんだと思います(笑)。名古屋の銀行はなかなかお金を借りてもらえないので、昔は「名古屋金利」というものがあったくらいです。銀行が貸出競争をしているので、他県よりも少し低い金利で借りられたのです。あと、ガンになったら借金がチャラになる団体信用生命保険(団信)や、借主の奥さんがガンになったら保険金がもらえる特殊な特約などもいち早く導入していましたね。

―名古屋がそんなに現金主義だとは知りませんでした!そもそも、日本人は投資に対してなぜこんなにネガティブなんでしょうか?

結局は親や学校の影響が大きいと思いますよ。「お金」について、そこ以外で学ぶ機会はないですからね。親や先生がお金に対してネガティブなら、子供もネガティブになるのは自然な流れですよね。あとは、「習慣」を変えることが難しいということもあるのではないでしょうか。

―確かに身近な大人である親や先生の影響は大きいでしょうね。「習慣」とはどういうことですか?

金融資産残高というのは、日々の生活習慣と意思決定の積み重ねの結果なんです。資産を地道に増やしていきたいなら、習慣や意思決定を根本的に変えないといけません。でも、習慣を変えるのは本当に難しいことです。右手で箸を持つ習慣がある人がいきなり左手で使うのはものすごく大変ですよね。いつもやってないことですから。そして、変えようとしても、人間はどうしても慣れている楽な道を選んでしまうものです。

新しい価値観、習慣を自分のなかに取り込むには、はじめは意識して刷り込んで、無意識になるまでやり続けないとダメですね。習慣が変わるというのはそういうことです。強く意識して毎日歯磨きをしたり、お風呂に入る人は少ないですよね(笑)。歯磨きやお風呂に入るのは完全に習慣になっているからです。

「お金」についても、本人が気付かないうちに正しい行動が「習慣化」されるような仕組みづくりができると良いですね。例えば、iDeCoをさらに一歩押し進めて、自分であえて変更しない限りは、初期設定商品が自動的にバランス型ポートフォリオになっていると便利なのになと思います。初心者に選択肢を与えてしまうと、どうしてもリスクがない「定期預金商品」や「保険商品」になってしまうのではないでしょうか。

―確かに習慣を変えるのはよっぽどのことがない限り難しいですよね。ところで山口さんは「お金持ち」とお話される機会も多いと思いますが、やはりすごい方々なんでしょうか?「お金持ち」ってなんだかベールに包まれていて興味があります!

お金持ちとお話していて感じるのは、とにかく「決断がとてつもなく早い」ということです。毎月の保険料3000円をどうするかを何カ月も考えてしまう人もいる一方で、年間保険料3000万円であっても、それが必要と分かれば即決されることが多いです。あと、連絡に対する「レス」もとてつもなく早い傾向にありますね。さらに、人との「縁」もとても大事にされる人が多いと感じます。お客様から学ぶことは本当に多いですよ。

お金持ちのほうが実はお金はあまり使わない傾向にあり、比較的慎ましい生活をされていることが多いことも良く分かりました。お悩みポイントとしては多岐にわたりますが、相続税対策が最も多いですかね。また、金融機関に相談したいことは色々とあるものの、既存の金融機関は2~3年くらいで担当者が転勤でコロコロ変わってしまうので、なかなか信頼関係が深まらないことをストレスを感じているようです。

ちょっと関係ないですが、実は、1万円の取引をされるお客様と1億円の取引をされるお客様では、本質的にお伝えする内容やサービスは同じなんですよ。これは金融サービスの面白い点だと思います。

―確かに担当者がコロコロ変わってしまってはプライベートな深い話はできないですね。最近、金融機関の営業マンによる“押し売り”が問題となっているようです。どういう人が信頼できる営業マンなんでしょうか?

確かにネットで調べると、事実かはわかりませんが、銀行、証券会社、保険代理店、郵便局などが商品を無理やり売りつけてきたというトラブルを多く目にしますね。最近だと、日本でもIFA(※)が注目されるようになってきて、アドバイスする人が「独立系」であることが「中立」だと誤解してクレームになるケースもあるそうですね。「この人は、本当に自分のためになることをしてくれようとしているのか?」としっかり疑問に思い、相手にも臆せず聞いて、自分で調べるというリテラシーがますます重要になってくると思います。
(※IFA:Independent Financial Advisorの略。証券会社や銀行に所属しない、独立系のファイナンシャルアドバイザーを指す。アメリカやイギリスでは金融商品販売の主役を担っている。)

私は多くの方に、「自分自身で必要なものを選べる」ようになっていただきたいと思っていて、そのお手伝いをしていると自負しています。「今ならこの商品が良いですよ」と商品ありきで話すことは絶対にありません。お客様の悩みにしっかりと耳を傾けて、あくまでも商品の特徴を分かりやすく説明するように意識しています。最終判断は個々人でしていただくのが結果的には選択の納得感を高めることになり、継続できることにつながるのでとても重要なんです。

耳より情報を教えてくれる「セールスマン」ではなく、自分をしっかり育ててくれるような営業マンこそが信頼できる存在だと思いますよ。

【編集者の感想】
山口さんが指摘されてるように、資産を地道に増やすために習慣や意思決定を根本的に変えないといけないのならば、オトナになってからではなく、やはり幼少期からの金融教育が重要になるのではないかと思いました。そういう意味で、分かりやすくそして楽しく伝えれば、小学6年生でも「投資」について興味を持つということに大きな可能性を感じました。また、親や学校の先生がお金に対してネガティブなことが、子供にも伝播してしまっていることを考えると、親・先生・子供の全方位に対するお金の教育というのはとても重要なのかもしれません。「ファイナンシャルプランナー」がその役割を担う重要な存在になる気がしました。(つづく)
ファイナンシャルプランナー・山口京子
【前編】資産を増やすには生活習慣や日々の意思決定の見直しがカギ
【後編】使命は「増やしワザ」で投資の誤解を解いていくこと

取材・文・編集/野水瑛介(FOUND編集部)、写真/荻原美津雄
※撮影場所協力:和食器・陶器ショップ “美命mikoto
http://www.mikoto.jp/1top.html

株式会社FOLIO
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2983号
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