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不自然で自然な人間の抗い|アンチエイジングにまつわるコラム

当コラムは、資生堂アドバンストリサーチセンター主幹研究員・江連智暢氏の取材に立ち会ったFOLIOスタッフがつづる取材後記です。今回のコラムの筆を取ったのはFOUND編集長のスズこと鈴木隆文です。45歳を迎えてなお惑い続ける男は、これまで接することのなかった「アンチエイジング」という概念に何を想うのか?

鈴木隆文/
お金と社会のメディア『FOUND』の編集長。デザイン誌『AXIS』、『ほぼ日』などで編集・執筆の仕事にたずさわってきたほか、フリーランスとして、様々な雑誌やWebメディア、広告・広報の編集制作に従事。書籍『ギネス世界記録』及び同社WEBの編集長も務めた。

文/鈴木隆文

自らを省みる

アンチエイジングなんてものへの興味は、実は薄いものだった。というよりも男性である筆者は、「男がアンチエイジングなんて…」と少々古い考えに脳を侵されていた節がある。

しかし取材で資生堂アドバンストリサーチセンター主幹研究員・江連智暢氏の話を聞いて、自らの考えの浅はかさを省み、改めざるを得なくなった。

彼の言葉で特に印象的だったのは、「老化は避けられませんが、その事実を受け止めて”いかに前向きに生きてくか”という心の在り方がアンチエイジングというコンセプトにとって重要だ」というものだった。

老いを肯定する

そもそもアンチエイジングというものは、「年老いる」こと自体は避けられない、という土台の上に成り立つ概念なのである。当然、研究をしている江連さんは、日々、様々に科学的なアプローチでアンチエイジングに向き合っているのだけれども、何も老いることそのものを否定しているわけではないのだ。

むしろ肯定的に老いていくことが大事なのだと、教えている気さえした。人間という生き物が死へと至るプロセスの上で、アンチエイジングというものがその命をポジティブに輝かせるものであったなら、そのコンセプトは大切にされるべきものだろう。

アンチエイジングは自らとの対話

「何か美容的、健康的な試みをした後にこんな風になった!」「しばらく使ってみたら、こんな変化があった!」「ダイエットしてみようとしたら、間食をやめることができずイライラを感じた!」「1週間専用のクリームでシワを伸ばし続けたら本当にシワが消えた気がした!」などなど…。

「美しくなりたい」「格好よくなりたい」というアンチエイジング的な気持ちに乗じたチャレンジはさまざまにある。そして意外にも、この試みは、自らの実験心を満たし、向上心も刺激してくれるものだったりする。変な男のプライドや恥じらいを捨ててやってみさえすれば、日々のアンチエイジングへのチャレンジは、実はとても興味深いしエキサイティングなのだろう。身体的な実験であり、自らの細胞との対話でもあるからだ。

アンチエイジングと人間という生物

確かにアンチエイジングというものは、とても不自然なものではある。僕の知っている限り、自然界に人間以外にそんな試みをする生物は存在しないように思う。しかし逆に言えば、美意識などという高尚なものを持っている生物も人間だけなのだ。

われわれ人間には、「獣のように生きたい」という衝動的な欲求が埋め込まれているのかもしれない。しかし、もう一方には「気高く、美しく、可憐に生きたい」という理性的な欲求も埋め込まれているはずなのだ。その意味に限れば、アンチエイジングというコンセプトは、自由意志と理性、成長への欲求を持った人間にとって自然なコンセプトであるような気もする。

そして人間は、成長する意志さえ持てば、自らの心、精神というものを死ぬまで成長させ続ける可能性を秘めている。それと同じく、意志さえ持てば、その身体、見た目というものさえも、きっと成長させ続けることができるはずだ。

アンチエイジングと成長

成長することは、老いることでもある。

その成長を心身共に美しく彩ってくれることがアンチエイジングであるのなら、それは男女の別を問わずに、人類が人生という時間軸の中に取り入れる価値のある、とても大事なコンセプトになるだろう。そして、こうも言うことができるはずだ。

成長しながら美しく老いることがアンチエイジングなのである、と。

少し大げさながら、僕はそんなことを想った。

資生堂 アドバンストリサーチセンター主幹研究員 江連智暢

第1話 人類の夢・不老不死とアンチエイジング
第2話 アンチエイジングは今日も変わりつづけている
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