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人生100年時代に賢く歳を重ねる方法|シニアビジネスプロデューサー・村田裕之 第2話

65歳以上人口が3,515万人を突破し、急速な高齢化が進む日本。ネガティブに捉えられることも多い高齢化を、“アクティブシニア”の誕生として新たなビジネスチャンスであると説くのが東北大学の村田裕之先生です。

中高年の女性向けフィットネスジム『カーブス』や高齢者向けの携帯電話『らくらくホン』などのヒットに関わってきた“シニアビジネスの第一人者”に健康で賢く歳を重ねるための秘訣を聞きました。

介護の苦労が、健康意識を高める

事業を始めて4~5年経つとノウハウが蓄積されヒットし始め、現在は平均で1店舗に500人が通うまでになっているそうです。

細かいノウハウは「非公開」とのことですが、村田先生が明かしてくれた一例は全てのお客さんのファーストネームを覚える、というシンプルな方法。

「佐藤さん、いらっしゃいませ」ではなく、「花子さん、今日は顔色がいいですね。お元気そうで!」といったコミュニケーションが大切とのこと。こうした小さな積み重ねが今の成功につながっているそうです。

村田氏:
「この10年で中高年女性の健康意識に対する
 意識が高まったことが
 事業には追い風でした。
 
 1号店をオープンしたばかりのころ、
 60代の女性たちにジムの話をすると
  『それは若い人のモノでしょ?』と
 そっぽを向かれていました。
 でも、今は『それをやりたかったの 』
 と言ってもらえるようになりました。

    そうなったのは、
 世の中全体が高齢化して
 介護が身近になったからです。
 親の介護で苦労した人が
 『自分はあんな風にはなりたくない、
  子供に負担をかけたくない』
という意識が強まり
 健康で元気でいられるように
 真剣に運動をするようになったのです。

 私には96歳まで生きた父親がいましたが、
 生前は歩行器を使って
 かろうじて歩ける状態でした。
 母親も物忘れがひどくなって、
 20分の間に同じことを6回話します。 
 そういう姿を見ると私自身も
 同じようにならないように
 努力しないといけないと思います」

 
現在の平均寿命は男性が約80歳、女性が87歳。しかし村田先生によれば、「健康寿命」となると、男性が「80マイナス8歳」女性が「87マイナス12歳」となっているそうです。

健康寿命を伸ばし、要介護の期間を減らさないと、長生きした分だけだれかの世話にならなければいけないという状況に多くの高齢者が不安を感じているのです。

亡くなる3日前までピンピンしていて、「いろいろ世話になったね」と言ったかと思うと、眠るように静かに逝く。

村田先生によれば、そんな風に最期を迎えることを願っている人が増えているそうです。特に介護で苦労をした人ほど、その願いは切実なのだそうです。

そこで村田先生が提唱しているのが、“スマート・エイジング”という生き方です。

「歳をとっても、衰えないは」実現可能か?

高齢者を「ヨボヨボのおじいちゃん、おばあちゃん」というステレオタイプに当てはめるではなく、約8割は「まだ介護が不要で元気な活動的な世代である」と見抜き、20年以上前に “アクティブシニア”というブルーオーシャンを見出した村田先生。

前回の記事ではこのアクティブシニア市場でヒットを生み出すヒントを教えてもらいました。後編となる今回は現役世代やシニア世代が賢く、健康に歳を重ねるための方法について聞きました。

村田先生が提唱するスマート・エイジングとはどのような考えですか?

村田氏:
「スマートは賢いという意味です。
 賢く齢を重ね
 いくつになっても成長を実感できる生き方、
 それがスマート・エイジングです。
 
 82歳でiPhoneのアプリを
 つくられた方がいらっしゃいますが、
 スマート・エイジングの良い事例と
 言えるでしょう。
 スマート・エイジングで歳を重ねるためには、

 次の4つが必要です。 
  1つ目:
   運動。体を動かす習慣

  2つ目:
   認知。脳を使う習慣

   3つ目:
   栄養。バランスの取れた栄養習慣  

   4つ目:
   社会性。人と関わる習慣」

村田先生は栄養不足のお年寄りが多いことに関連して、ひとつ典型的なパターンとして年配者には「料理なんて男のするモノじゃない」という価値観の人が少なからず要る、という問題点を指摘されていました。

こういった方は離婚や死別で独り身になると偏食が進み、体が弱ってしまうケースが少なくないそうです。

また、社会性に関しては、会社勤めだった人が退職によって家にひきこもりがちになるケースが要注意であると言います。

退職してしばらくは悠々自適に旅行などを楽しみますが、いずれ行く所がなくなり、やることもなくなってしまうとTVばかり見て過ごすようになる……。こういった状態が認知症を加速させる恐れがあるとして、村田先生は警鐘を鳴らします。

食事と社会性については、このエピソードでどういった問題があるのか想像がわきますし、運動についても先のカーブスの例でご説明いただいたのでイメージがつきます。ですが、脳を健康に保つためには、どういった方法があるのでしょうか?

村田氏:
「脳を元気に保つ研究成果を
    社会に実装するために、
 東北大学が日立ハイテクノロジーズと共同で
 株式会社NeU(ニュー)という
 会社をつくりました。

 この会社では脳が活性化しているかを
 リアルタイムで見られる装置と
 様々なアプリを開発しています。
 
 独自に開発した超小型のNIRS(近赤外光計測装置)を使って、
 前頭前野の活動をリアルタイムで
 モニターできます。

 これを“脳トレ“に活用した製品を最近発売しました。
 自分の脳の状態を見ながら
  『活性化してきた!』とか
  『いまいち活性化してないな……』
 というフィードバックをかけながら
   脳のトレーニングができるのは
   世界初の仕組みです」

村田先生は脳トレのような事例を挙げつつ、スマート・エイジングの鍵は予防にあると語ります。

認知症や病気、ケガの予防をし、寝たきりにならないようにすることで健康寿命を延ばすことがスマート・エイジングの肝。

そして、そのために必要なキーワードが “きょういく”と “きょうよう”なのだそうです。

最終回となる次回では、まずこの2つのキーワードについて語ってもらうことにしましょう。

つづく

シニアビジネスプロデューサー・村田裕之

第1話   “3つの不の解消” で 高齢社会のビジネスチャンスをつかむ
第2話  人生100年時代に賢く歳を重ねる方法

第3話 会社軸ではなく自分軸で生きることが、老けこみを防ぐ?


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