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組織で結果を出すためにこだわり続けていること|楽天株式会社 山岡まどか 後編

前回のインタビューでは、人気キャラクターである「お買いものパンダ」を、チームとして組織として、どう生み出し広げていくか、というお話を伺いました。

最終回の今回は、マネージャーの立場として、組織をどう動かしてヒット企画を作り育ていくのか?という部分について、より深くお聞きしたいと思います。

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山岡まどか(やまおか・まどか)
楽天株式会社 プラットフォーム戦略統括部 インキュベーション部 ジェネラルマネージャー
2003年に新卒で大手情報出版会社へ入社。新規事業開発やメディアプロデュースに携わった後、 インターネット業界のスピード感と可能性に惹かれて 2010年に楽天へ入社。現在ではグループ横断のブランディングやキャラクタープロデュースを担う。

言語化して伝えることが組織を動かすカギ

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山岡さんは、本当に数々のプロジェクトを、組織をまたいでディレクションされていますが、それぞれの企画を、どこまでタッチされているんですか?

山岡:
「基本的に最終的なアウトプットの品質は、ほとんどチェックしています。

それはどんなに細かい案件でも行っていまして、たとえばWebページに少しだけ『お買いものパンダ』のイラストが出るだけでも、必ず確認をしています」

ーー品質チェックというのは、キャラクターがきちんと可愛く使われているか?みたいな部分ですか?

山岡:
「もちろん可愛さもそうですが、世界観が担保されているか?という部分もきちんと確認しています。

『お買いものパンダ』はある意味タレントのような存在として考えていますから、大事なタレントが出て行く場として、Webベージやグッズの品質が適切か?ファンの方により喜んでいただくためにもう一段の工夫ができないか?というのを確認しています」

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ーー
今は「お買いものパンダ」を中心に色々なプロジェクトを抱えてらっしゃると思うのですが、部下の方もプロジェクトを担っていらっしゃるんでしょうか?

山岡:
「『お買いものパンダ』としては、だいたい今500くらいのプロジェクトを1年間で動かしているのですが(笑)、もちろん任せられるものはどんどん部下に任せています。

部下のみんなも日々奮闘をしながら成長をしていますし、企画からデザイン監修までオペレーションもしっかり整備してくれていますので、最後の最後、責任をとるところだったり、『お買いものパンダ』としてどうなんだという論点が残る部分は私が担保する、という働き方ですね」

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ーー500ものプロジェクトを動かしていると、部下の方が多くいらっしゃると思うのですが、多くの部下の上に立つリーダーには色々な素質が必要です。その中の一つとして、誰かに仕事を信じて任せる、という点があると思いますが、「部下に任せる』というのは山岡さんは大切にされていますか?

山岡:
「もちろん大切ですし、基本は任せたいと思っています。

ただ、最終的なアウトプットの部分で、これはお客様に届けるべき品質水準ではないと判断したら、ギリギリまで改善してもらうことも時にはあります。

大切なのは、妥協せずにこだわる部分と、その水準について予め言語化し、チームにも伝えておくことだと思います」

ーー組織として、『お買いものパンダ』をこれからもっと普及していくべく、山岡さんが考えてらっしゃることがあれば教えていただけませんか?

山岡:
「そうですね、前回の記事で、3つのスコープについてお話しました。

その中でも、ここ2年で注力してきたのが、収益拡大の部分でした。

たくさんの楽天グループのサービスと連携して、そのサービスの収益に貢献できるような企画を次々と実施していったのですが、大きな成果を出すことができ、一昨年はデザイナーと私とで社長賞をいただいたりもしました。

ですので、次はもう一度『お買いものパンダ』というアセットの価値をどう高めていくか?に回帰する時期かなと思っています」

ーーと、いいますと?

山岡:
「たとえば、『お買いものパンダ』のアイデンティティを特徴づけているのが、LINEスタンプから生まれたということです。

みなさんLINEスタンプを使う時は、自分の身代わりのような気持ちでスタンプを使っていますよね?自分が『ありがとう」と書く代わりにスタンプを送っていたりします。

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この『自己投影性』というのが、他のキャラクターと違う特徴だと考えています。

一般的なキャラクターだと、キラキラとした憧れる存在だったり、愛でる対象というのがほとんどだと思いますので、私たちはある意味、新しいキャラクター像を切り開いているのではないでしょうか。

だとすると、LINEスタンプ以外にも、自身の身代わりとして生活の中に溶け込んでいくには、どういう革新的な企画が良いだろうか?と考えていたりします」

ーーユーザーの方は、パンダに自己を投影して使われていることが多いんですね。

山岡:
「はい、多いです。多くの方に『これまでキャラクターにハマったことがなかったけれど、初めてハマったのがお買いものパンダでした』とおっしゃっていただけます。

実は『お買いものパンダ』のグッズを販売しても、半分近くは男性に購入いただいたり、シニアの方も多かったりしますが、その秘密はこの新しいキャラクター像にあるのではないかと考えています」

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ーーなるほど。単に企業の一つのキャラクターかと思いきや、そこにはビジネスをベースにした考え方があって、コンセプトがあり、その軸を中心に山岡さん主導の元に色々なチームが動き、多くのスタッフがアイデアを出し、実行して、形にしているんですね。

ヒットキャラクターの裏側には、個人のパワープレーではなくて、組織をどう動かし、結果を出していくのか?という緻密な計算と実行力がある。

そんなことを教えていただいたインタビューでした。

山岡さん今回はありがとうございました!

組織をハンドリングして人気企画を生み出す方法とは?|楽天株式会社 山岡まどか 前編
ユーザーに喜ばれるキャラ作りのヒント|楽天株式会社 山岡まどか 中編
組織で結果を出すためにこだわり続けていること|楽天株式会社 山岡まどか 後編

取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部)

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