見出し画像

宇宙空間に生まれる様々なビジネス|宇宙コンサルタント・大貫美鈴 第2話

宇宙ビジネスの時代はもうすでに始まっている。この只中にいる大貫さんは、宇宙の可能性について、宇宙利用でどんなビジネスが進行しているかについて、教えてくれました。

その内容は、我々の想像をはるかに超えるものでありながら、決して夢の絵空事ではないのです。さて、リアルな宇宙ビジネスは、どんな方向に向かっていっているのでしょうか?

「宇宙創薬ビジネス」や「宇宙資源ビジネス」

「宇宙創薬ビジネス」や「宇宙資源ビジネス」

大貫氏:
「現在、実現化しつつある『5G』の通信環境を構築するために、通信事業企業が宇宙ビジネスに参入する例もあります。IOT衛星やクラウド衛星というのも出てきています。また、宇宙でデータを取得して、それを高度化、解析して、ソリューションとしてサービスを提供する企業もあります。

その他にも、無重力空間を使って新しい薬を開発する宇宙創薬開発や、光ファイバーなど画期的な素材を製造する材料開発なども事業として行われています。

月や他の惑星にある水などの資源を利用する宇宙資源利用も将来的に期待を集める分野になると思います。世界各国で宇宙ベンチャーをはじめとするプレイヤーが取組みを進めています。」

近年では、民間企業が宇宙ビジネスに参入するハードルが下がってきているそうです。その要因のひとつに、民間によるロケット開発が進み、衛星などの打ち上げ費用の「低価格化」が進んでいることが挙げられます。

宇宙ビジネスを展開する企業はまず、自社の衛星や実験機器などのペイロードをロケットに積載して宇宙に飛ばす必要があります。

民間でロケットを開発している企業としては、イーロン・マスクが率いる「スペースX」が有名ですが、スペースXの登場は衛星を宇宙に運ぶコストを、「従来の半分以下に下げることに成功した」(大貫氏)と言います。
また、各企業はロケットに小型衛星を“相乗り”させることで、さらなるコスト削減を目指しています。いわゆる、「衛星のライドシェアリング」です。

大貫氏:
90年代の衛星は5t、8t、10tと大型化していきましたが、2000年代以降、数kgの『キューブサット』と呼ばれるような小型衛星が登場するなど、衛星自体を小型化する流れが生まれました。

現在、各社はそれら小型衛星をライドシェアで宇宙に打ち上げるのですが、その数は1回の打ち上げで数十衛星にのぼることもあります。なかには、インドのPSLVロケットで104衛星を一度に打ち上げたという記録もあります。

現在、小型衛星のコンステレーション(協働運用)では、通信衛星で2万4000衛星以上、地球観測衛星で1000衛星以上の衛星の打ち上げが計画されています。打ち上げ市場の獲得を目指して、小型ロケットの開発も行われており、マーケットインしている企業もあります。」


理系にも文系にもひらかれた宇宙ビジネスの機会

前述のように、「創薬や新素材開発」「資源開発」など、宇宙を利用したビジネスが登場してきていますが、大貫氏は「宇宙データビジネス」の発展も我々の生活に直結しくると期待しています。

大貫氏:
「地球観測データ、気象データ、位置データなどなど、宇宙から地球を俯瞰して得られるデータはさまざまで、それらに地上で取得したデータを融合したデータはアクショナブルデータ(すぐ利用が可能なデータ)として、農業や漁業、林業などの第一次産業、陸海空の交通、金融、不動産、教育など、あらゆる産業に新たな価値をもたらします。

宇宙から地球をモニタリングするだけでなく、得られたデータをAIで解析することで、経済予測、未来予測が出来るようになってきています。

データを駆使した新たな経済『データ・エコノミー』やデータで事業を変革するトランスフォーメーションに宇宙で取得したデータが貢献できるのです。宇宙から得られたデータは、私たちの生活をより豊かにしてくれるはずです。」

世界各地ではさまざまな試みがすでに始まっていますが、日本の宇宙ビジネス、また各プレイヤーの特徴はどうなのでしょうか。大貫氏は、宇宙ビジネスに参入する企業の数こそ少ないものの、その多様性は注目すべきと指摘します。

大貫氏:
「世界には宇宙ベンチャーなど宇宙事業を進める企業が約1000社あるといわれており、2030年には1万社になると予測されています。

日本には現在30社あまりの宇宙ベンチャーがあると見られていて、数は多くはないですが、ロケットや衛星などハードウェアを開発するメーカー、宇宙デブリ除去、、宇宙のデータ利用、さらにエンターテイメントや月面開発を事業とする企業もあり、それぞれの分野で革新的なビジネスモデルで取り組みを進めています。

また、キャノン、ソニー、JAL、全日空、POLA、資生堂のような、一見、宇宙とは関連がなさそうに見える大手企業がビジネスに参入しているというのも特色のひとつだと思います。」

宇宙ビジネスが順調に発展すれば、宇宙に縁もゆかりもないと考えている人たちでさえ、「宇宙旅行」を気軽に楽しめる日がくるかもしれません。

そうなれば、「宇宙ファッション」や「宇宙飲食業」など、新たなジャンルの宇宙ビジネスが登場する可能性もあります。「観光産業が裾野が広いように宇宙観光の裾野も広くなるでしょう」。そう、大貫氏は言います。

大貫氏:
「最初は、宇宙に特別な関心がなかった文系の私でしたが、好奇心の赴くままに宇宙に接してきたからこそ伝えられる部分があるかと思っています。

宇宙はとてつもない価値や可能性を秘めていて、経済成長に貢献し、私たちの日常生活を豊かにする。これからも宇宙ビジネスの魅力を発信していきたいと思います」

文系ど真ん中で数字を見ると思考停止に陥る筆者でも、もしかしたら宇宙ビジネスに関わることができるのではないか。そんな前向きな気持ちにさせていただいた取材でした。大貫さん、ありがとうございました!


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

有難うございます!『FOUND』は読者視点を大切に取材をしていきます。
9
『FOUND』は、「お金」と「社会」に関する情報を「わかりやすく」「おもしろく」発信し、私たちの未来を探るメディアです。 Powered by FOLIO→https://folio-sec.com 金融商品取引法に基づく表示→https://bit.ly/2PpsTr4