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「5G」って、どこまで進んでいるの!? NTTドコモ・奥村幸彦氏インタビュー|第2話

5Gが世の中に普及するためには、基地局の整備とともに端末(移動機)が普及して行くための時間がかかるということがわかりました。

では、この技術が社会に実装された後、人々の暮らしにはどんな変化が起こるのでしょうか? 第2話では、NTTドコモ5Gイノベーション推進室・5G方式研究グループ担当部長の奥村さんに、その秘められた可能性を聞いてみます。

医療問題も5Gが解決する?

5Gが普及すれば、テレビ会議などの映像を介したコミュニケーションがさらにグレードアップできるかもしれません。テレビ会議は、使用する通信回線の速度によっては映像がカクカクしていて、相手が怒っているのか、喜んでいるのかなど、時に表情がよく読み取れません。

ですが、5Gであればより滑らかで細やかな映像をやり取りすることができ、よりスムーズなコミュニケーションが可能となるはずです。人と人の距離を縮めて、まるで同じ場所に一緒にいるかのような感覚で意思疎通を図り、また、共同え作業する。そんな5Gの活用の仕方は、「遠隔医療システム」にも有用だと奥村氏は言います。

奥村氏:
「日本の山間部などにおいては後期高齢者が増えつつあり、幅広い疾患に対してタイムリーに診療を受けようとすると、どうしても地元の医療機関だけでは対応しきれず、市街地にある総合病院で診てもらう必要がでてきますが、その際、高齢者にとっては往復の移動が大きな問題になっています。

そのような地域に依存する『医療格差』は、日本が抱える社会的な課題のひとつですが、弊社では、この課題の解決にも寄与すべく、和歌山県立医科大学と県内山間部の診療所を光回線と5Gでつなぎ、複数の高精細診断画像を伝送する遠隔医療の実証試験を行っています。

5Gで遠隔医療の仕組みをつくることができれば、患者のみならず、医師のメリットも大きい。

いずれ、医師不足や医師偏在、医療機関の不足などの問題も、5Gで解決できればと考えております。」

このような「地域医療」への取組みに加えて、NTTドコモでは、「救急医療」、高齢者や子供を見守る「高精細映像による地域見守り」などにおいても、5Gを応用すべく実証試験を進めてきたと言います。

奥村氏:
「より高度な医療ソリューションの典型例として東京女子医科大学が主導して開発した『スマート治療室・SCOT』があります。

治療室の中にある複数の医療機器をネットワーク接続し、各機器がら出力される情報を時刻同期した上で統合表示する『戦略デスク』を介して、治療室の外にいる経験豊富な医師が治療のサポートを行えるようにしているのが特徴です。

我々は、このスマート治療室および戦略デスクの一方または両方に5Gを適用してモバイル化することで、高度医療を提供できる機会と場所を拡大して行きたいと考えています。」

現実世界とバーチャル空間をつないで、エンターテインメント業界に活気を


5Gは仕事や医療のみならず「エンターテインメント」でも、威力を発揮します。

複数地点の4K映像や音声を繋げた『音楽合奏』というユースケースも興味深い一例です。

東京ビックサイトにギタリスト、東京スカイツリーにある5Gの常設展示場にドラマー、福井県の恐竜博物館にボーカルとベーシストがいて、一緒にセッションするという試みです。

プロのミュージシャンは映像や音のずれに対して非常に敏感で厳しい感覚をお持ち。

おおむね数十ミリ秒以内の低遅延で総合に情報のやりとりができる環境がつくれれば離れていても合奏ができるとのことですが、今回、その条件を満たす形で実験に成功したと言います。

奥村氏:
「音楽合奏のユースケースにおいて、5Gは、1対1だけでなく複数地点を相互に繋げて低遅延でリアルタイムの情報交換が可能。ゆくゆくは、日本各地点を繋げてアンサブルやオーケストラができる日がくるかもしれません

さらにドコモでは、SLをテーマにした実証試験も行っています。これは、新しい観光コンテンツを生み出す取り組みのひとつ。

昨今人気が高まっているSLですが、実際に客車に乗ってしまうとSLが勇ましく客車を牽引して走っている様子が見えません。そこで走っているSLを外部から8Kカメラで定点撮影し、そのリアルタイムの高精細映像を5Gにより客車に伝送して再現しました。

数々の実証実験の例を聞く限り、5Gは医療や仕事など社会的課題の解決のみならず、エンターテインメントや観光など、生活のあらゆるシーンを変える力を秘めているようです。

なお、奥村氏はさらに意外な需要が生まれてくる可能性も指摘します。

「離れた場所にいても『まるでそこにいるかのような仮想体験』が5Gの応用でできるようになれば、さらに実際にその場所に行ってみたいという、リアルな体験を求める新たな需要が生まれてくるのではないかと考えています。

やはり、旅行や食事、ライブなどは仮想で良い体験をすると、実際に行ってみたくなるもの。そういう、現実とひもづいた欲求を喚起するのも5Gの特徴になりえるかもしれません。」

先進医療分野をはじめとして、今後、国内で確立した5Gを応用するソリューションを利用しやすくパッケージ化して、パートナーと一緒に海外展開していくことも目標にしたいとも奥村氏。

日本国内のみならず、日本で生まれた5G応用サービスが海外で愛用され、普及していくかにも注目したいですね。

奥村様、本日はお話お聞かせいただきありがとうございました!

「5G」って、どこまで進んでいるの!? NTTドコモ・奥村幸彦氏インタビュー|第1話
「5G」って、どこまで進んでいるの!? NTTドコモ・奥村幸彦氏インタビュー|第2話

取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真/荻原美津雄、取材・編集/ 鈴木隆文(FOUND編集部)


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