継続のコツは短期的な成果は見ないこと|投資ブロガー・虫とり小僧 第3話

前回は、虫とりさんがどのように現在のインデックス投資手法に行き着いたのかを伺いました。今回は、なぜ日本で投資文化が普及しないか?投資を継続するポイントは何か?などに迫っていきます。

虫とり小僧
いつか子供に伝えたいお金の話」を運営する著名な投資ブロガ―。
インデックス投資(投資信託を使った国際分散投資)による資産運用・各種保険・クレジットカード・節約方法など学校では教えてくれない「お金」に関することを書き綴っている。
【今回のポイント】
✓日本で投資が普及しなかったのは投資する必要性・必然性がなかったから。
✓バブル崩壊で投資で大損した経験が「投資=ギャンブル=悪」という負のマインドセットを強烈に植え付けた。
✓金融機関もメディアも、ギャンブル的ではない「インデックス投信などの低コスト商品による長期積立分散投資」のような正攻法だが地味な投資手法についてあまり取り上げてこなかった。
✓「他責タイプの人」には投資はおすすめしない。
✓「鈍感力」があることは投資を継続するには大事な素養。
✓継続するためには、とにかく短期的な成果はいっさい見ないこと。

―いよいよ本質的なこと伺いたいのですが、なぜ日本で投資はなかなか広まらないのだと思いますか?

端的に言うと、投資する必要性・必然性がなかったからだと思います。アメリカのように個人が自己責任で自分の年金を準備しないといけないような強制力もなかったですしね。

今までの日本という国は、終身雇用で退職金も心配ないし、人口増加で年金制度も盤石だし、老後のお金のことについて個人が特段考えなくても、国や企業が最終的になんとかしてくれる良い環境だったのだと思います。

また、バブル崩壊で投資で大損した経験から、「投資=ギャンブル=悪」という負のマインドセットを強烈に植え付けられたのではないかと思います。このように投資はまともじゃないと思われているので、やっている人は口に出さなくなり、誰にも勧めたりしないので、そうすると投資について知る機会がどんどん減ってしまうわけです。

―確かに必要じゃなかったから広まらなかったというのは自然な考え方ですよね。他の角度からも理由はありそうですか?

投資商品を販売する金融機関側にも問題があったと思います。あまり儲からないという理由で、ギャンブル的ではない「インデックス投信などの低コスト商品による長期積立分散投資」のような正攻法だが地味な投資手法について積極的にアピールしてこなかったので、世間で注目されなかったのです。

また、テレビなどのマスメディアもそういうことはいっさい番組で取り上げて来なかったので、やはり国民は正攻法・王道な投資手法について知る機会がなかったのだと思います。仮想通貨がここまで有名になったのは、それで儲かったという声がメディアを通じて大きく拡散していったことが大きいと思います。「億(おく)り人」という言葉を連日のように見聞きすれば、誰でも興味は沸いてきますし、やってみたくなりますよね。

―確かに日本だとテレビで投資の話題について目にすることは少ないですよね。ところで、友人や親族には投資は勧めたりしますか?

まず大前提として「他責タイプの人」には絶対に投資をおすすめしないです。投資は自己責任なので、結果が出ないことを何かのせいにするタイプの人は止めておいたほうが無難ですね。私の感覚ベースではありますが、私が教えたなかで投資をしっかりと継続できている人は「理系タイプの人」が多いんですよ。

理系タイプの人だと、確率的思考がすんなり理解できるので、投資と相性は良いのだと思います。逆に極端に目先のことしか考えられない人は、下がると急に怖くなってすぐに売ってしまい、逆に上がっているものを見つけるとすぐにそっちに飛びついてしまいますので、投資にはあまり向いてないですね(笑)。

感情的な人には投資はなかなか難しいんじゃないかと思います。あと敏感な人もダメです(笑)。「鈍感力」があることは投資を継続するには大事な素養なんです。

―日本には他責タイプで感情的な人は多い気がします(笑)。虫とりさんほど詳しければ、親族からも投資の相談に乗って欲しいと言われることも多いのではないですか?

そうですね。親の相談には乗ったりします。親は投資にあまり乗り気のタイプではなかったのですが、「お金について超慎重派のお前がやっているなら大丈夫だろう」と思われているようです(笑)。親からまとまったお金の運用の相談を持ち掛けられたとき、某バランス型インデックス投信に一括投資すれば良いとアドバイスしました。しかし、投資をはじめたタイミングが確か2008年5月とリーマンショック前夜で、その後のリーマンショックで資産が一時的に半分くらいになってしまったんです(苦笑)。

私としては、相場は戻るだろうという確信があり気長に考えていたのですが、親に大暴落の事実を伝えたら失神してしまうと思ったので、しばらく黙っておくことにしました(笑)。幸いにも、親は経済ニュースには無頓着なので、リーマンショックで自分の資産がまさかそんなに減っているとは夢にも思っていないようでした(笑)。

2015年くらいにかなり儲けが出てきたタイミングで、資産運用の結果を見せると、「あんた良くやったわね」とかなり驚いていましたね。別に何もやってないんですけどね(笑)。

―親御さんも資産の目減りを見ていたら解約していたかもしれませんね。

大パニックになって、速攻で解約だったと思います(笑)。資産運用というのは、道中で色々起きますから不安になるものなんです。特に大きく下がったりすると、どんなに自信があった人でも、今までの常識・セオリーは通用しなくなったのではないかと自分を疑ってしまったりもするわけですよね。

そうすると途中で止めたい衝動に駆られます。もうドキドキして不安な日々を過ごすのはたくさんだ、と。あと、リーマンショックみたいなことが起こると、雑誌の特集や書店に並ぶ本も超ネガティブな見出しになるので、本当に続けるのが辛くなります。インデックス投資で、長期・積立・分散するのが合理的だという理屈が頭で分かっていても、本当に継続できないものなんです。

―継続というのは「言うは易く行うは難し」の典型ですよね。継続するコツはありますか?

継続するためには、とにかく短期的な成果はいっさい見ないことがポイントです。見てしまうと気になりますし、不安になるだけです。下がっていれば止めたくなるし、上がっていればついつい欲が出てくる(笑)。

私もアメリカの株式市場がどうなっているか気になってしまって、夜中に起きてスマホで逐一見たりしていた時期がありました。睡眠不足にもなりましたし、何よりも妻に浮気を疑われましたね(笑)。でも、見たくなってしまうんです。我慢ができなくなる。

―夜中にこっそりスマホをいじっていたら、それは怪しいですね(笑)。ところでリーマンショックのときはどんな心理状態になりましたか?未曾有の危機だったわけですから、心穏やかには過ごせなさそうです…。

投資している資産の評価額が半分くらいになってしまうのは、初めての体験でした。ただ、今までの勉強の甲斐もあって、理屈上は百年に一度の金融危機というのはむしろ大チャンスだと思えて過剰に焦ることはありませんでしたね。相場はいずれ循環して戻るだろうと考えていました。

ただ、そういう風に一生懸命自分に言い聞かせていたというのが正直なところかもしれません(笑)。何せ初めての経験だったのでね。投資仲間のなかでも、リーマンショックのような大幅な相場下落を体験して「インデックス投資はやっぱりダメだ」という人も多かったですね。かなりの人が途中離脱していった感触があります。怖くなって継続できなかったんだと思います。

リーマンショックが起こるまでは「インデックス最高だぜ!」と声高に叫んでいた人々は、「インデックス投資なんか全然ダメじゃないか!」って怒って勝手にどっかに消えていきました(笑)。そうした人々は、相場が復活してくると、今度は「アメリカ株が最高だぜ!」と言いはじめ、その次は「ビットコインの時代が到来したぞ!」と興奮していた印象があります。

結局、自分なりの哲学がないというか、他にもっと儲かるものがあるとすぐにそっちにいってしまって、本当の意味でインデックス投資というものが腹落ちできていなかったわけですよね。リーマンショックで経験したこと、感じたことを自分のなかで落とし込んでブログを書き始めました。

【編集者の感想】
「感情的な人、繊細な人には投資はなかなか難しい」というのは確かにそうだなと思いました。ただそうなると果たして投資できる日本人はいるのか。。。虫とりさんの親御さんのエピソードは長期投資で成功する本質を示しているように感じました。メディアでもそういう成功体験がもっと語られると投資に対するイメージもポジティブに変わってくるのかもしれません。次回(最終回)は、日本で投資は普及するか?という点について深掘りしていきます。(つづく)
投資ブロガー・虫とり小僧
【第1話】投資デビューは保険勧誘がきっかけ
【第2話】時間をかけない”高コスパ”の投資手法を重視
【第3話】継続のコツは短期的な成果は見ないこと
【第4話】投資普及の鍵は"強制的"成功体験を積ませる仕組み

取材・文・編集/野水瑛介(FOUND編集部)、写真/荻原美津雄

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