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第19章 株の分散投資って、どういうこと?

「投資の基本は分散すること」
「1つのカゴに卵を全部入れるな?」

ブルベア先生に教えられたことが、頭のなかでずっと引っかかっていた。

投資を分散することとは、投資先を「株式」や「債券」、「不動産」や「外貨」などの様々な商品に分散させることで、リスクを回避させること。

これで、1点集中の投資よりもリスクが軽減できるというわけだ。


しかし、この「分散投資」という考え方、株式投資をする場合にも役に立つものなのだろうか?

気に入った1つの銘柄だけに、資産を投資していいのか?

それとも、株も基本は「分散投資」で、色々な銘柄を買ったほうがいいのか? 

またも困ったモネは、ブルベア先生に相談するのであった。


株式投資も「分散」が基本なの?

B:
「1つのカゴに卵を全部入れるな」という格言、よく覚えていたね。

これは資産運用全般ではもちろん、株式投資に限ってでも大切な考え方だ。

株式投資における「分散」でキーワードになるのが、「対象」と「タイミング」だ。

M:
「対象」と「タイミング」?なんですかそれは。

B:
うむ、ではまず株式投資の「対象」について考えてみようか。

「自分の好きな会社に全額投資したい」という気持ちも、わからんでもない。

しかし、これは繰り返すが「卵を1つのカゴに盛るな」というルールで考えると、避けるべき投資方法なんだな。

M:
ああ、やっぱりそうなんですね。

じゃあ「対象」ってやつを考えて、株式投資を上手にする方法は、具体的にどうしたらいいんですか? 

投資の対象を1つにするのではなくて、分散するのが大切だっていうのはわかるんですけど、具体的にはどう分散すればいいのかがわかりません。

B:
株式投資における「対象」の分散は、「値動きの違う商品に分散して投資する」ことが大切なんだ。

M:
「値動きの違う商品に分散?」もう少しわかりやすく教えてください。


対象を4つに「分散」するって?

B:
よしよし、「値動きの違う商品に分散」というのは、大きく分けて4つの方法がある。

1つめが「地域の分散」だ。これは日本の会社の株だけではなくて、他の国(先進国と新興国、ヨーロッパとアジアなど)の株も同時に所有することだ。

M:
へェ~、そういえば海外の会社のことなんて、考えたことなんてありませんでした。

B:
次に大切なのが「通貨の分散」だ。

これはたとえば、アメリカの会社の株って実は「円」でも「ドル」でも買えるんだけど、円でアメリカの株を持つことを「円建て」、ドルで持つことを「ドル建て」っていうんだな。

つまり世界中の株を買う際にも、「円建て」だけで買うんじゃなくて、「ドル建て」や「ユーロ建て」、「新興国通貨建て」のように分散させることが大切なんだ。

M:
これって、「通貨の分散」をしておけば、円の価値が下がっちゃったとしても、他の通貨の価値が上がっていれば安心!

なぜなら、自分の持っている資産の価値が全体として大きく下がることはないから!ってことが言いたいんですか?

B:
ほほう、モネはかなり賢くなってきているな。

まさにその通りだよ。

そして3番目の分散が「資産クラスの分散」だ。「アセット(資産)クラスの分散」なんて言われたりもするな。

M:
「資産(アセット)クラス」って何ですか?初めて聞きました。

B:
「資産(アセット)クラス」っていうのは、「同じようなリスク&リターンを持つ商品の種類」って意味だ。

M:
う〜ん、だめだ、わからないです。

B:
たとえば「国内株式」っていうのは一つの「資産クラス」だ。

なぜかというと、1つ1つの銘柄の細かい変動は毎日あるけれど、「日本の景気に株価が左右される」ってことを考えてみる。

すると「国内株式」はどの銘柄も同じ仲間だって気づかないか?

つまり、同じクラスってことなんだ。

M:
あ、確かにそうだ。

ってことは、例えば日本国内の債券には「国債(国が発行する債券)」「地方債(地方公共団体が発行する債券)」というものがある。

けれども、それを考えると「国内債券」はどれも似たような値動きをするから、1つの「資産クラス」ってことですか?

B:
鋭いじゃないか!まさにその通り! 

それと同じ考え方で「アメリカ国債」や「ドイツ国債」は先進国が発行する債券と考えて「先進国債券」という1つの資産クラスにまとめられるね。


あと、コカ・コーラやマイクロソフトの株式は、先進国の会社の株式だから「先進国株」という1つの資産クラスにまとめられる。

M:
はい、よーくわかりました。

ところで、なんで「資産クラス」の話をしているんでしたっけ?

B:
そうだったな。話を「対象の分散」に戻そうか。

つまり、対象の分散の1つとして、この「資産クラス」という基準で資産を分散させることが、リスクヘッジでは大切な考えなんだ。

例えば、以下の図のように、「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」という4つの資産クラスに分けて投資するという手法が考えられるね。

対象の分散の4つめとして、「銘柄の分散」の話もしておこう。

ひとくちに株式で投資をするといっても、その投資する対象となる銘柄には、様々な特徴があるんだ。

その特徴を見極めて、異なる特徴を持つ銘柄の株に分散して投資することを「銘柄の分散」っていうんだな。

M:
うーん、なんだか今ひとつわかりません。 

B:
たとえば、銘柄の中にも「景気に敏感な株(シクリカル株という)」と、「景気に左右されない安定な株(ディフェンシブ株という)」のがあったりして、その2つを保有するってことだな。

あとは、いきなりは上がる可能性は低いけれど、昔からジワリジワリと上がっている「成熟株」と、今後大きな成長性が期待されるような「新興株」を2つ保有する。

これが株式でいうところの「銘柄の分散」ってやつだ。


タイミングを「分散」するって?

M:
投資する「対象」を分散するというのは、なんとなくわかりました。次に教えて欲しいのは「タイミングの分散」です。

タイミングって、どうやって分散して、リスクを回避すればいいんですか?

B:
ではここで質問だ。もし今100万円持っていたとする。そしてその100万円を全額投資に回そうと考えている。

この100万円、どういうタイミングで投資に回すかな?

M:
そうだなぁ、銀行に預けてても利息ほとんどつかないからなぁ、さっさと全額投資に回しちゃいたいなぁ。

だから、今日、全額投資に回します!ドーンといっちゃいますよ!

B:
うーむ、それはあまり賢くない投資方法だな。

1日で一気に資産を投資に回すという方法は、「高値づかみ」をしてしまう可能性が出てくるんだな。

M:
ん?高値づかみってなんですか?

B:
たとえば、ある商品に投資したとしようか。その商品を今日買うと一口1万円だったとすると、100万円でいくらかえるかな?

M:
100口買えますよね。それが何か?

B:
じゃあもしこの商品が1週間後に、なんと一口9000円に値下がりしたら、100万円で何口かえるかな?

M:
えー、計算苦手なんだよなぁ。

えっと100万円÷9000円だから…約111口。あれ、11口も多く買えるじゃないですか!? 

安い時に買ったほうが絶対お得ですよね〜!

B:
もちろんだ。投資の基本は「安く買って、高く売る」だったね。

でもいくら投資のプロといえど、どのタイミングが最安値で、どのタイミングが最高値なんてわからないんだよ。

だからポイントとなるのは、「長い目で見た時に、価格の変動リスクをできるだけ少なくする」ってことなんだ。

M:
ということは…

全額一気に投資するよりも、長い目でコツコツ投資を続けたほうが、リスクが分散される可能性が高くなる、ってことですね。

B:
そういうことだな。モネは「積立投資」という言葉を聞いたことがあるか? 

たとえば毎月1万円を投資すると、1年で12万円、10年で120万円、1か月毎のタイミングで分散して、10年間の時間で投資を続けられることになる。

このメリットは、バブル崩壊などで相場が大きく下がったときでも、長い目で見られる。

「得した時」「損した時」を平均で見て、価格変動のリスクを抑えることができるのがポイントなんだ。

M:
「コツコツ一定リズムで長続き」の投資をすると、株の値段が高いとき、低いときをバランスを取って買えるってわけか。

何事もコツコツ根気よく続けるって、大事なんだなぁ。

株式投資においても「分散」がとても大切だと学んだモネ。分散には「対象の分散」と「タイミングの分散」がある。

さらに対象の分散として4つの分散方法(地域の分散、通貨の分散、資産クラスの分散、銘柄の分散)がある。

そして、タイミングの分散として、時間(=タイミング)を分散して投資する方法がある。

場所、通貨、銘柄、時間などいろんな要素を分散させることでバランスを取る。

モネはこのことに想いを馳せながら、何か投資というものは人生に似ている、だから投資には哲学が必要なんだなぁ、などということニンマリしながら考えてみるのであった。
(つづく)

【 資産運用の図解教室 の 目次 】

第0章 お金を増やす、ということ 。
第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ?
第2章 投資で得られる未来?ー前編
第3章 投資で得られる未来?―後編
第4章 投資をすればお金は増えるの?
第5章 投資って、危険なの!? 〜リスクとリターンのお話
第6章 今の時代を考えると、預金?それとも投資?  
第7章 投資の種類のお話 〜前編〜 投資のいろいろ
第8章 投資の種類のお話 〜後編〜 投資のいろいろ
第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?
第10章 投資で「人生のお金」を設計する?
第11章ー前編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第11章ー後編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜
第13章 株式投資ライフをはじめよう
第14章 株を買う・売るってどうやるのかな?
第15章 株式の銘柄とチャートってなんだろう?
第16章 自分の株式投資のスタイルについて考える
第17章 株価以外の「株の価値」?その良し悪しを見極められる指標って?
第18章 誰かの一言で、株価が動くの?
第19章 株の分散投資って、どういうこと?
第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?


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