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第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?|資産運用の図解教室

ブルベア先生のおかげで、いろいろな投資の種類について知ることができたモネは、いよいよ投資をはじめることになった。

やる気満々のモネだったけれど、肝心なことを忘れていた。そう、「お金がない」ということだ。

投資は大豪邸や高級車を持っているような大金持ちじゃなくても、お小遣い程度でできるって言っていたけど、じゃあ一体いくらぐらいあればいいんだろう?

投資に回すために、欲しいものを我慢しなきゃだめなのかな?よし、こうなったら生活費を削って、投資に回すしかない!などといきり立つモネ。

しかし、やはり頼るべきは、ブルベア先生なのであった。

投資のための資金の作り方教えてくださいー!


投資の大切なキーワード「余裕資金」?

B:
こらこら、生活費を削って投資に回すなんていう、バカなことをしてはいかんよ。

M:
でも先生〜そうしないとジブンには投資に回すお金の余裕なんてありません。

B:
そんなお前に投資の世界で、昔から言われている格言を教えてやろう。

それは、「いのち金に手を出すな」っていう言葉だ。

つまり、「生活を脅かすようなお金を、投資に回してはいけない」って意味になる。

生活費などに使うお金を、「ちょっと増やしてみようかな」なんていう気持ちで手を出すと、思ってもいない結果になり、生活が困窮する状態になってしまうかもしれんのだよ。

M:
先生〜それは困ります!極限まで切り詰めてお金を貯めて投資に回そうとしていました。あぶないあぶない! 

ところで先生、だとしたら投資に回すお金なんて、ない気がしてきたんですけど?

B:
うむ、ここで大事になってくるのが、「余裕資金」という考え方だ。

余裕資金というのは、「当面使う予定がないお金」というのが一番わかりやすいかな。

つまり極論を言うと、「あってもなくても今の生活に影響のないお金」だな。

このお金を投資に運用するという考えが大切だ。

余裕資金の計算方法

M:
なるほど!生活費を削って投資のお金を作るっていうのは、ある意味間違っているということですね。

そしたら、誰にも言ってないジブンの秘密の貯金を切り崩して、それを投資に回そうかなぁ。

あ、でもブルベア先生、投資に回すその余裕資金ってやつは、具体的にいくらくらいのことなんでしょうか?

なくても困らないお金って、ピンと来ないんだよなぁ…。

B:
うむうむ、その悩みか。いろいろな考え方はあるけれど、モネにすすめるのは以下の計算方法だな。

まずは、自分の預金が、現金でどのくらいあるかを計算する。

次にそこから、「生活防衛費」を引くんだ。

M:
生活防衛費?なんですかそれは? 

B:
もし自分が事故や病気で働けなくなった時や、仕事がなくなってしまった状況になった時に必要な生活資金のことだ。

これはあくまでも例だけどな、40歳ぐらいまでなら、今の生活費の半年分、40歳以上なら今の生活費の1年分の金額は残しておくと安心だろうな。

そのお金は、銀行の普通預金や定期預金で管理して、もしもの時には引き出せるようにしておくんだ。

M:
全然知らなかった!ついついお金が入ると使っちゃうから、ジブンもそこは意識しなきゃ。

B:
たとえば、30歳で自分の生活費が1ヶ月150,000円ならば、

貯蓄―(150,000円×6ヶ月)= 残ったお金

で残ったお金が、投資に回してもいい「余裕資金」ってことになるね。


まあこの余裕資金の考え方は、お金をたくさん持っている人と、そうでない人とではちょっと考え方が違うだろうけど、この計算方法をベースに考えてみると1つの基準になるはずだ。


余裕資金を投資する時の心構え

M:
先生に言われたように計算してみたら、本当にわずかですが、投資に回せるお金がありそうです。

これを元手に頑張ってみようかなと!

B:
それはいいな。いざ投資をする、という時に、その「余裕資金」に対する考え方をもう少し話しておこう。

これは何度も話しているけど、投資というのは絶対に今のお金が増えるわけではないということだ。

逆に減ってしまう可能性もある。つまりリスクがある、ということをもう何度でも思い出さなければいけない。

ようするに、投資に回すお金は、
「このお金がなくなったらどうしよう…、困っちゃう」
という類のものではダメだってことだ。

それよりもむしろ、
「万が一なくなったとしても、まあ勉強代と思うようにしよう」
という気持ちの持てるお金を、投資に回した方がいいってことだな。

M:
お金がなくなっちゃうのはいやだけど、万が一のことを想定して運用した方が、気分的にラクかもしれませんね。

B:
そうだな、だから自分の中で「一時的にどのくらいの額なら損してもいいか?」ということを想定しておこう。

最初は「余裕資金の最大10%ぐらいなら、一時的に損をしてもいいや」と思えるマインドを持てることは、大事かもしれないな。

M:
10%か〜、余裕資金が200,000円だったら20,000円ってことですね。

B:
それともうひとつ、これも投資の基本だけれど、その余裕資金を投資に回す時に、1つだけに集中して投資するよりも、分散して投資することを心がけること。

昔から言われている投資の格言の1つに、「卵は一つのカゴに盛るな」というのがある。

卵を1つのカゴに入れていると、落とした時に全部割れてしまうかもしれないだろ?

だが、いろいろなカゴに分けて入れておけば、もし1つのカゴを落としたとしても、全部の卵が割れる心配はない。

これと同じで、投資も分散するのが基本だ。

M:
は〜い、リスクを分散させるってことですね。

ってことは、前に先生に教えてもらった、投資信託とかがいいのかもしれないなぁ。

投資に大切な「3つの余裕」

B:
さて、余裕を持つのは資金だけじゃないんだな。ここでは投資に大切な「3つの余裕」の話をしておこう。

3つの余裕とは、「お金の余裕」「心の余裕」そして「時間の余裕」のことだ。まずお金の余裕は、前に話した余裕資金で投資をすべし!ということだ。

【3つの余裕とは?】

・お金の余裕
・心の余裕
・時間の余裕

まず「お金の余裕」は、前に話した余裕資金で投資をしよう!ということだ。

M:
は〜い、生活に必要なお金まで投資に回しちゃだめ、ってことですよね。よくわかりました。

B:
2つ目の余裕である「時間の余裕」というのは、投資した商品が、自分が思っているように価格が上がらなくても、そのまま持ち続けられることだ。

短期的に一喜一憂するのではなくて、長い目で投資と向き合えるか? 長い時間をかけて資産運用ができる時間の余裕を持つことが大切だ。

M:
毎日毎日、「上がった〜!」「下がった……」って、短い期間スパンの動きに喜んだり凹んだりしてはダメってことですね。

B:
そして3つ目が「心の余裕」だよ。

心の余裕というのは、たとえば投資しているお金が元本割れしても、安心して寝られるか?気にしすぎないでいられるか?というリスク耐性のことだ。

例えば株の場合、突然大きく下がることもある。もちろん大暴落する可能性もある。

もしも株価が下がったら、自分ならどのように対応するかを考えておくことが大事なんだ。

M:
たしかに、心の準備をしておけば、気持ちは楽かもしれませんね。

B:
そう、そういう心の余裕を持てるようにするためには、色々なことを知っておくといいんだな。

たとえば何が起きると株価が下がるのかとか、為替の場合だったら海外の市場が暴落したり、円高になるとどんな影響を受けるのか、などを自分で考えたり学んだりすることが大切なんだよ。

どんなお金でも投資に回していい、ということではなくて、「余裕資金」を投資に回すことの大切さを知ったモネ。

そして投資は元本が割れることもあるということを頭に入れておき、「お金の余裕」「時間の余裕」「心の余裕」を持って投資と向き合うことをブルベア先生から教えてもらったモネ。

なにやらちょっと自信がついたのか、風を切って帰り道を歩くのであった。

つづく

【 資産運用の図解教室 の 目次 】

第0章 お金を増やす、ということ 。
第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ?
第2章 投資で得られる未来?ー前編
第3章 投資で得られる未来?―後編
第4章 投資をすればお金は増えるの?
第5章 投資って、危険なの!? 〜リスクとリターンのお話
第6章 今の時代を考えると、預金?それとも投資?  
第7章 投資の種類のお話 〜前編〜 投資のいろいろ
第8章 投資の種類のお話 〜後編〜 投資のいろいろ
第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?
第10章 投資で「人生のお金」を設計する?
第11章ー前編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第11章ー後編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜
第13章 株式投資ライフをはじめよう
第14章 株を買う・売るってどうやるのかな?
第15章 株式の銘柄とチャートってなんだろう?
第16章 自分の株式投資のスタイルについて考える
第17章 株価以外の「株の価値」?その良し悪しを見極められる指標って?
第18章 誰かの一言で、株価が動くの?
第19章 株の分散投資って、どういうこと?
第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?

イラストレーション/浜畠かのう