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矢内重章(日本ロボット工業会事務局長)|第1回 ニッポンの「ロボット産業のキホン」を教えてください!

日本ロボット工業会事務局長・矢内重章インタビュー

目次
第1回  ニッポンの「ロボット産業のキホン」を教えてください!
第2回  どうなるの、ニッポンのロボット産業ー世界の動きと未来?

取材・文/河鐘基、写真/荻原美津雄、ロボティア、取材・編集/FOUND編集部

みなさんは、ロボットというキーワードから何を連想しますか?

鉄腕アトムやガンダム、エヴァンゲリオンやドラえもんなど、漫画やアニメに登場するキャラクター、あるいは、最近、街角で見かけるようになった「ペッパー」を連想する人もいるかもしれません。

しかし、ビジネスの世界におけるロボットは、それらイメージとは少し違います。ロボットが活躍する現場では、こなすべきタスクによって、形、サイズ、デザイン、機能まで実にさまざまです。

今回、第1回では、「ロボット産業のキホン」について、日本ロボット工業会の矢内重章事務局長に聞きました。

第1回 目次 
・"ロボット"の定義とは?
・サービスロボットのいろいろ?
・ロボットと市場、右肩上がり?
・インダストリアルロボット、その進化?

日本ロボット工業会事務局長の矢内重章さん

"ロボット"の定義とは? 


まずロボット産業では、ロボットは大きくふたつに分類されています。

ひとつが「インダストリアルロボット(=産業用ロボット)」、そしてもうひとつが「サービスロボット」です。

矢内氏:
「インダストリアルロボット は、
 工場の中で稼働するロボットです。
 一方、サービスロボットには
 明確な定義がまだありません。

 その理由は、新たな市場として
 動き出し始めたばかりの分野である
 ということが一点。

 また、定義を決めてしまう
 と型にはまって
 ビジネスやアイデアの
 広がりがなくなってしまうため、
 まだ明確なラインを業界側が
 あえて設けていない
 という実情もあります。

 現状では、
 工場の外で動くロボットを
 サービスロボットだと
 理解してもらえれば
 分かりやすいかもしれません。

 災害用ロボットや
 インフラ整備用などのロボットも、
 サービスロボットの範疇に含まれます」

インダストリアルロボット(産業用ロボット)⇒ 工場の中で稼働するロボット

◎サービスロボット ⇒ 明確な定義なし、工場以外で動くロボット

「ロボット」とひと言で言っても、実は、2つに大別できるというわけです。

わたしたちがロボットと言うとき、頭に思い浮かべるのは、たいていサービスロボットの方です。

鉄腕アトムもドラえもんも、あえて分類するなら、そちら側に分けられることになります。

サービスロボットのいろいろ?

ここ数年、世界各国ではさまざまなタイプのサービスロボットが誕生しています。

警備用ロボット、配達用ロボット、棚卸用ロボット、調理用ロボットなど、その実例を挙げていけば枚挙に暇がありません。

冒頭に書いた「ペッパー」などコミュニケーション用途のヒューマノイドロボット、「ルンバ」など掃除用ロボット、「アマゾン・エコー」や、「グーグル ホーム」などスマートスピーカー(家庭用AIスピーカー)も、サービスロボットとして区分されています。

◎ サービスロボットの種類

・警備用ロボット
・配達用ロボット
・棚卸用ロボット
・調理用ロボット
・コミュニケーション用途のヒューマノイドロボット「ペッパー」
・掃除用ロボット「ルンバ」
・家庭用AIスピーカー「アマゾン・エコー」「グーグル・ホーム」 など

今は、実に多くのサービスロボットが、さまざまな分野で産まれています。そして研究開発も続けられています。もちろん、わたしたちの生活にも、入りはじめていますね。

さまざまな研究開発が進むサービスロボット

ロボットと市場、右肩上がり?

ロボット市場の話にも少し触れておきましょう。

現在、インダストリアルロボット(産業用ロボット)およびサービスロボットを含む世界のロボット市場全体は、右肩上がりの成長を続けています。

さすが最先端技術の産業ですね。

ただサービスロボットが占める割合はまだまだ小さく、その大部分をインダストリアルロボットが占めています。

次のグラフを見てみてください。

NEDO「2035年に向けたロボット産業の将来市場予測」より作成

NEDOが公開している資料「2035年に向けたロボット産業の将来市場予測」にある2015年の数字を見比べると、日本市場でのインダストリアルロボットの数字はサービスロボットの数字の約3倍を示しています。

これはある意味、現状のインダストリアルロボットは産業として力を持っていることを指し示しています。

しかしながら、この状況は遠くない未来に変わるかもしれないのです。

今後、サービスロボット市場が急拡大していくことで、2025年を前後した時期には、市場規模が逆転する

同レポートでは、そう予想されているのです。

インダストリアルロボット、その進化? ロボットと人工知能

では、現段階でロボット産業の"エース"ともいうべき、インダストリアルロボット=産業用ロボット(以下、インダストリアルロボットで表記統一)はどのように進化を遂げているのでしょうか?

矢内氏:
「まず作業内容ですが、
 人間にはできないような
 超精密・高速組立が可能です。

 例えば、
 携帯電話の中の電子部品の取付け
 なんかはとても早い。
 1秒間に15~16個というスピードで
 組み立ててしまいます。

 不定形のものに対応するなど
 柔軟な作業は人間には及びませんが、
 特定の単純作業ではロボットの方が
 圧倒的に効率的です。

 また
 インダストリアルロボットは
 長時間休まず
 稼働することができます。

 そのような観点では、
 すでに人間を超えている、
 これは多くの人が既に
 気がついていることでしょう」

つまり、「精密に、スピーディーに、休まずに働ける労働力」でも「柔軟さには欠けている労働力」、そして「ある側面からは既に人間を優に超えている」それがインダストリアルロボットの現状のようです。

ある作業では優に人間を超えるロボット


 矢内氏は、「インダストリアルロボットの発展」についてこうも付け加えます。

矢内氏:
「インダストリアルロボットは、
 スリム化・小型化という方向
 でも発展を遂げている」

一昔前まで、インダストリアルロボットが10kgのモノを掴むのに、その10倍、20倍の大きさと重量が必要でした。

しかし現在では、自分の重さ(自重)と同じくらいのモノを持ちあげられるようにまで機構や構造が発展。

結果、エネルギー効率や省エネ効果が高まっているそうです。

「小さくても力持ち」という言葉がありますが、まさに現在のインダストリアルロボットは、そんな存在に進化を遂げているのです。

軽々と自動車の車体を持ち上げるインダストリアルロボット


さらに、今のインダストリアルロボットは、ただの「力持ち」ではないと言います。そのキーワードは、"ソフトウェア"です。

矢内氏:
「人工知能など、
 インダストリアルロボットを
 制御するソフトウェアの発達

 も見逃せません。

 人間に例えるならば、
 インダストリアルロボットなど
 ハードウェアは身体、
 機械を制御する人工知能など
 ソフトウェアは脳
に該当します。

 脳が発達を遂げることで、
 インダストリアルロボット
 の機能が
    高度化している
 というのが近年の傾向です」

ハードウェア(インダストリアルロボットなど) ⇒ 身体
ソフトウェア(人工知能など) ⇒ 脳

つまり、今、工場で日々働いているインダストリアルロボットたちは、AIの進化にともなって、「頭の良い力持ち」へと変貌を遂げているのです。

たしかに考えてもみれば、身体ばかりが発達しても、それを司る脳の発達が伴わなければ、バランスのとれたスムーズな動きは実現できないのは当たり前の話です。

工場内の現場の要求におうじて変わり続けてきたインダストリアルロボット。

そして、目につき、わかりやすいところでは、わたしたちの生活のところどころに現れはじめたロボット(サービスロボット)の進化。

第1回はここまで。まずは、そのキホンを語ってもらいました。 

生活者としては、どうしても後者のサービスロボットの方に目がいきがちですね。

しかし矢内氏は、日本の社会が未来によりよく発展するためには、ロボット産業全体の進化と発展が欠かせないと言います。

でも、それって、実際のところはどういう意味なのでしょうか? 

そんなわけで、このロボット産業が、どう変化し、どう私たちの生活を変えていくか?を次回、探っていきます。

 矢内さん、「第2回  どうなるの、ニッポンのロボット産業ー世界の動きと未来?」について教えてください!

つづく

日本ロボット工業会事務局長・矢内重章インタビュー

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