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国際カジノ研究所所長・木曽崇|第1回日本に「カジノ」ができるってホントですか?

国際カジノ研究所所長・木曽崇インタビュー

目次
第1回 日本に「カジノ」ができるってホントですか?
第2回 「カジノ解禁」は、日本にとってよいことなの?

取材・文/河鐘基、写真/荻原美津雄、ロボティア、取材・編集/FOUND編集部

「日本国内にもカジノが誕生!!」「経済効果は年間約2兆円!?」などのニュースがよく報じられるようになりました。

こうしたニュースが話題になっている背景には、2018年の7月の「統合型リゾート(IR)整備法」の成立があります。

「統合型リゾート」と言われても、どんなものなのかイメージしにくいのですが、これは、カジノ施設にホテルやレストラン、ショッピングモール、展示会場、アトラクションなどが併設された大型観光施設のことです。
つまり、「統合型リゾート整備法」とは、カジノを軸とした観光施設をつくり、運営することを認める法律なのです。

統合型リゾート(IR)整備法(正式名称:特定複合観光施設区域整備法)=カジノを軸とした観光施設をつくり、運営することを認める法律

早ければ2020年代半ばには日本にカジノを軸としたリゾート施設が誕生する見込みとなっています。

今回は、そんな日本国内でのカジノ誕生に向けた流れについて、カジノ研究の第一人者である木曽崇氏にお話をお聞きしました。

「本当にできるの?」、「どこにできるの?」などといった素朴な疑問から、「カジノなんて出来たら、ギャンブル依存者が増えないの?」などの心配ごと、さらに、「カジノによる経済効果」などについて、あれこれ教えてもらってきました。

△話を聞いた人

国際カジノ研究所所長
木曽崇(きそたかし)さん

木曽崇(@takashikiso)|Twitter
国内の大学を卒業した後、2000年に渡米。ネバダ大学にてカジノ経営学を専攻。同国でカジノ企業に勤めた後、2004年に帰国。エンターテインメントやカジノ産業の研究員を経て、2011年に独立し、国際カジノ研究所を設立。著書に『夜遊びの経済学』(光文社)、『日本版カジノのすべて』(日本実業出版社)などがある。
第1回目次

・カジノが日本にやって来る!?
・カジノ解禁までの遠く長~い道のり
・日本のカジノに海外の企業も注目!
・日本企業と海外企業がタッグ?

カジノが日本にやって来る!?

2018年7月に「IR整備法」が成立し、日本でのカジノ施設誕生に注目が集まっています。

法律が成立したといっても、もちろん、誰もが自由にカジノ施設を開設できるようになるわけではありません。

「当初は国内最大3カ所に認定」、「都道府県か政令指定都市がカジノ事業者と整備計画をつくり、国の認定を受けなければならない」などといった制限が設けられています。

しかし、これまで日本国内における賭博は競馬、競輪、競艇、オートレースのみが「公営競技であるという建前」で合法とされていたことを考えると、大きな規制緩和だと言えるでしょう。

法律による制限
・国内最大3カ所まで
・都道府県か政令指定都市がカジノ事業者と整備計画をつくり、国の認定を受けること

【参考】
・特定複合観光施設区域整備推進本部

カジノ開設による経済波及効果ですが、一説では、施設の建設時に約5.1兆円、カジノや周辺施設の運営で年約2兆円にもなるといわれています。

「ギャンブルなんてやらないし、興味もない」という人でも、この金額を見れば「カジノ」への興味がムクムクと湧き上がってくるのでは…?

カジノ開設による経済効果
・施設建設時……約5.1兆円、
・施設の運営……年間約2兆円

【参考】
・統合型リゾート(IR)開設の経済波及効果(2017年版)|大和総研グループ

カジノ解禁までの長い道のり

カジノに関する報道をさかのぼってみると、1999年には石原慎太郎都知事(当時)が「お台場カジノ構想」を提唱していました。

また、2002年頃には有志の議員連盟によってカジノ合法化の検討が始まっていたようです。

これだけを見ると、法律の成立までにずいぶん時間がかかったという印象です。木曽さんはその辺りのことをどのようにお考えなのでしょうか?

木曽氏:
「日本と同じく2000年代冒頭から
シンガポールでも
カジノに関する議論が
盛り上がりました。

シンガポールは、
2005年にカジノ合法化を決め、
その後、2010年には
2つのカジノリゾートを
開業させています。

それと比較すると、
日本は動きが遅いですね。

なぜ、こんなに
時間がかかったかと言うと、
それは政治の状況です。

安倍政権より前は、
1年ほどで首相が変わる
という状態が
長く続いていました。

カジノのような
賛否両論あるものを合法化する
という取り組みは、
弱い政権にはできません。

自民党にも民主党(当時)にも
カジノ推進派がいて、
国土交通省なども
乗り気でした。

しかし、
不安定な政権の手に負える
ものではありませんでした。

それがようやく政権が安定し、
やっと実現したというのが
実情です」

ではもしこの先、「政権交代」というようなことが起きれば、カジノ合法化の流れがひっくり返る可能性はあるのでしょうか?

わたしたちの問いに木曽さんは、「IR整備法が撤回されるということはまずない」としたうえで、説明を続けます。

木曽氏:
「ただし、
カジノは設置施設のある
都道府県もしくは政令指定都市の
『地方議会の賛同決議』がないと
国の認可を受けられません。

ですから、
そこでつまずく可能性はあります。

現在、
カジノ誘致に動いている中で、
和歌山県、長崎県、千葉県の。
議会は、今のところ
カジノ推進派が過半数です。

大阪もおよそ過半数が推進派なので
あとは公明党次第という状況です。

しかし、
どの県も来年(2019年)春の
統一地方選挙で、
議会の過半数が『カジノ反対派』に
なってしまった場合は、
設立の候補地に立候補できない
という状況になり得ます」

誘致に動いている自治体にとって、来年の統一地方選挙の結果は気になるところですね。

カジノを設立できるのは国内で最大3カ所。どこにカジノが誕生するのか気になります。

が、さらに、カジノを誘致した都道府県もしくは政令指定都市は、今後、民間企業と組んで開設を進めていくことになると思われ、どのような企業が選ばれていくのかも気になるところです。

日本のカジノに海外の企業も注目!

木曽氏:
「運営の母体となる組織は、
まずカジノ誘致をする自治体に
選ばなければなりません。

その後、
自治体と企業が周辺整備計画まで含んだ
IR設置区域整備計画を
提出します。

そして、国に選ばれると、
ようやく実際の建設や運営に
進めます。

ですから、
当然、カジノ業における実績が
必要になるでしょうし、
同時に、法律の趣旨でもある
観光振興や地域経済の振興にも貢献できる
企業でなければなりません」

自治体と企業がタッグを組んで、運営していくことになるのですね。
さらに木曽さんは次のように分析しています。

木曽氏:
「日本と海外のジョイントベンチャーが
運営を行なうのでは
ないでしょうか。

日本企業の中では、
ユニバーサルエンターテインメントや
セガサミーが
海外でカジノを運営しています。

しかし、
海外大手のように、
長期間にわたる
オペレーションの経験や
多彩なノウハウを
持ち合わせているとは
今のところ残念ながら言えません。

また、
3,000億〜5,000億円とも言われる
巨額な初期投資を
1社で負担もしくは調達できるのか、
という問題もあります。

海外大手企業の場合は、
運営の歴史も長く、
資金調達力も豊富です。

日本のカジノに
巨額の投資をしてもいいと
言っているという
海外企業もあるくらいです」

では、日本のカジノは、海外の企業と手を組んだ経営ということになるのでしょうか?

日本企業と海外企業がタッグ?

木曽氏:
「法律の趣旨である、
地域の魅力発信施設の実現や、
政治的な調整などは、
海外の企業が単独で行うには
荷が重すぎるでしょう。

そう考えると、
日本企業と海外企業の‟連合軍”
になるのかな、と思います。

具体的には、
特別目的会社(SPC)を
設立を前提にして、
その会社が、自治体と組んで
入札に進むという流れが
になるのではないでしょうか」

木曽さんの話では、海外の企業と日本の企業がタッグを組むことが予想されるとのことです。

そうなると、海外企業によって利権を本国に持って行かれてしまい、‟地元にお金が落ちない”という構図になってしまうのでは…?という懸念がうまれるのですが…。

これについて木曽さんはそれほど心配ないと言います。

木曽氏:
「法律の中に、
運営企業は
日本法人でなければならないと
定められているのです。

また、IR整備法は、
賭博の利権を
『特別に民間に付与するもので、
ちゃんと社会に還元しなさいよ』
という意味で、
再投資の努力義務を課しています。

ですから、
税収アップや地域投資の活性化が
期待できるように
なっていますし、
雇用創造などの面でも
地域への貢献は
消えないでしょう」

海外の企業が参入しても、あまり心配ないだろうということですね。木曽さんのお話を聞くと、カジノ誕生への期待はますます膨らむばかりです。

とはいえ、なにしろ日本初の試みなので、不安な点もあります。次回は不安に思っていることや、カジノができることでの経済効果などについてさらにお話をきいていきたいと思います。

つづく

国際カジノ研究所所長・木曽崇インタビュー

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第1回 日本に「カジノ」ができるってホントですか?
第2回 「カジノ解禁」は、日本にとってよいことなの?


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