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便利で“滑らかな”社会に向けて|キャッシュレス・ジャパンにまつわるコラム

当コラムは、消費生活ジャーナリスト・岩田昭男氏のインタビューに同行したFOLIOスタッフが綴る取材後記です。

今回の寄稿者は、FOUND編集部に所属する野水瑛介。

外資系の金融機関をわたり歩き、投資・資産運用やお金にまつわる多くの経験と知識を持つ野水は、何を感じたのでしょうか?

野水瑛介(のみず・えいすけ)
慶應義塾大学経済学部卒。2009年、JPモルガンアセットマネジメントに入社し金融機関に対する投信営業/企画業務に携わる。2016年、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問に転職し、ロボアドサービスの立ち上げを行う。2018年4月より現職。


文/野水瑛介

便利すぎるから不便な国、日本

岩田氏のインタビューで印象的だったのは「日本は便利すぎるからキャッシュレスが進まない」という何とも皮肉な言葉だ。

確かに、日本は現金盗難リスク、偽札リスクは諸外国と比べて相対的に低く、ATMは全国に張り巡らされたコンビニや郵便局で簡単に利用できてしまう。

私はロンドンに住んだ経験があるが、ATMは故障していることも多く、盗難に備えて夜の時間帯は使用できないことも多かったので、いかに日本が便利かを思い知ったものだ。

実際、日本は現金で日常生活に困ることはほとんどないので、今までキャッシュレス化が急速には進まなかったのは当然のことかもしれない。

しかし、昨今のPayPay、LINE Pay、Origami Payなどによる派手なキャンペーン合戦によって、潮目は変わろうとしている。

各社、決済覇権を握り、ユーザーデータを取得すべく必死なのだろう。

確かにQRコード決済は、事業者(特に零細企業)にとってはクレジットカード決済と比較的して導入コストが相対的に小さいので大きなメリットがある。

また、キャンペーン期間中であれば、消費者にもお買い得であることは間違いない。

しかし、消費者不在の状態で、このままのペースでQRコード決済アプリが乱立していき、さらにキャンペーンも終了してしまえば、消費者にはあえて使うメリットはなくなっていくだろう。

そして、事業者側も複数のアプリを使いこなす煩雑さが増すだけであり、徐々に使われなくなっていく可能性が高いのではないか、と個人的には感じている。

Suicaの功罪

先日、朝の情報番組を見ていたら、キャッシュレス特集をやっていた。そこであるコメンテーターが、
「私は新しいサービスは使いこなせないし、なんか怖いし、そもそもSuicaで特に生活に困っていない」
と話していた。

悲しいかな、ネットバンキングがあるにもかかわらず、いまだにお昼になるとオフィス街などにおいてATMに大行列ができる、わが国の多くの人の本音なのではないかと思った。

確かにSuica(交通系電子マネー)は実に便利だ。

私自身もオートチャージ機能付Suicaを使っているが、これで不足を感じたことはあまりない。

JRの努力もあり、ほとんどのお店でSuicaは使えてしまう状況になってきている。

Suicaなどの電子マネーに搭載されている日本発の「FeliCa」の技術は、朝のラッシュ時の東京駅や新宿駅の改札に耐えられるように作られたそうだ。

それを聞いて、2001年に登場した技術であるものの、世界的にいまだに最先端技術であることに納得した。

一方で、そんなすごい技術の結晶であるFeliCaは国際規格をとれなかったので、いわゆる“ガラパゴス化”してしまったのは実に無念だ。

世界では、TypeAやTypeBという別の規格が標準なのだそうだ。また1つ、「日本は確かな技術力はあるが、グローバルスタンダードにはなれない」という案件を見つけてしまった気がする。

2020に向けて


10月には消費増税があり、政府としてポイント還元でキャッシュレス化を一気に推し進めようする本気を感じる。

さらに、来年夏にはいよいよ東京オリンピックだ。今後ますます外国人観光客は増えていくだろう。

その時、使われる決済手段はQRコード決済ではなく従来型のクレジットカード(中国人であればAlipay)が主流な気がしてならない。

結局は、事業者はクレジットカード対応することが必要なのかもしれない。さらに近い将来、生体認証技術がさらに進化し、スマホという物理的端末すら不要になってくるだろう。

どうなるにせよ、より便利で“滑らかな”社会が到来することは間違いなさそうだ。

かく言う私は、今日もUber Eatsでお気に入りの弁当をランチで注文し、LINE Payで決済すると思う。実に便利な世の中になったものだ。

消費生活ジャーナリスト岩田昭男さんの記事はこちらから読めます。

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