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使命は「増やしワザ」で投資の誤解を解いていくこと|ファイナンシャルプランナー 山口京子 後編

前回は、幼少期からの金融教育の必要性をあらためて感じる内容でした。今回は「積立投資」の重要性やセミナーで意識されていることについて伺いました。「リンゴ」の例えは必見ですよ!

山口京子 / ファイナンシャルプランナー
ヘソクリから保険、資産運用まで、やさしく解説する専門家
https://kyoko-yamaguchi.com/
★大学時代からテレビ、ラジオに出演し、卒業後はフリーアナウンサーに。
★2000年FP資格習得。証券外務員、損保、生保、少額短期保険、宅地建物取引士の資格も取得。
★執筆:オールアバウト、東洋経済オンライン等
★TV出演:「ミヤネ屋」、「バイキング」、「サタデーステーション」他
★雑誌掲載:Forbes、女性自身、LEE、リンネル、日経Woman他
【今回の要点整理】
✓「価格」ばかりに気を取られていると「個数」の視点がなくなってしまう。積立投資で重要なのは、下落相場で多くの「個数」を買えること。
✓お金を育てるというのは植物を育てるのと一緒で時間がかかる。10年単位くらいで考えること。
✓世界経済がこれからどんどん衰退していくイメージがある人は投資に向いていない。
✓投資は、ご飯を食べること、お風呂に入ること、歯を磨くことくらい簡単かつ日常感があるものだと思ってもらえるようにしていきたい。

―山口さんご自身のお金に関する「哲学」と言いますか、考え方はどう形成されたのでしょうか?

今はもうだいぶ考え方は変わっていると思いますが、名古屋では昔は結婚式がとても派手で、「女の子が3人いると家が潰れる」と言われていたほどなんです(笑)。ですから、女の子が生まれると、結婚式に向けてお金をコツコツと貯め始めるという習慣がありました。そうやって「お金は地道に貯めるのが当たり前だよね」という空気感が醸成されていくんですね。

私も、お金は貯めるのが当たり前と信じて疑わず、幼い頃からもらっていたお年玉は1回も使ったことがありませんでした。お年玉は、大人になってから、住宅ローンの頭金になったほどです(笑)。あと、実家は商売をしていたので、そういう部分でも「お金」について考えることはとても自然なことだったのかもしれません。

―「女の子が3人いると家が潰れる」とはすごいですね!(笑)。そんな「お金は貯めるのが当たり前」と考えていた山口さんが、ファイナンシャルプランナーを志したきっかけは何だったんでしょうか?

大学時代からテレビやラジオで女子大生アナウンサーとして活動し、卒業後はフリーのアナウンサーになりました。東京でラジオ番組をやらせていただいておりましたが、タレントさんのプロの話術を目の当たりにして、「これでは絶対食べていけない!」と大きな危機感を覚え、番組改変期のタイミングでキャリアについてじっくり考えました。

そんな時、たまたま本屋にふらっと立ち寄り、経済・金融コーナーをなんとなく見ていたら、木村佳子先生のファイナンシャルプランニングに関する本を見つけたんです。その本を読んでみると、「ファイナンシャルプランナー?へー、お金に関わるそんな仕事があるんだ!なんだか面白そう!」と目から鱗だったと鮮明に記憶しています。そして、どうやら資格があるらしいことが分かり、早速受験してみることにしたんです。ちょうど2000年に取得しました。

ファイナンシャルプランナーの資格勉強は本当に学ぶことが多かったです。インフレになると貨幣価値がなくなっていくこと、株式や債券をどう組み合わせるのが良いのかという「現代ポートフォリオ理論」、株式や債券などの組み合わせ方で投資成果のおよそ90%が決まってしまうことなどなど、知らないことがたくさんありました。積み立て投資できるものは、とにかく自分で実際に何でもやってみようと決心したのもその頃からなんですよ。

―木村先生の本を見つけていなかったら「ファイナンシャルプランナー山口京子」は誕生していなかったんですね!本当に運命ですね!ファイナンシャルプランナーとして活動していて印象に残っていることは何ですか?

やはり2008年9月のリーマンショックです。あれを経験できたことは私にとっても、お客様にとっても大きな学びの機会でした。不安になるお客様も多かったですが、「アメリカでは公的資金が速やかに注入されたし、こうした大きな下落は一時的なので大丈夫ですよ。時間はかかっても相場っていうのは戻るものです。歴史を見れば、戻らない相場はないことが分かりますよね!」と何回もフォローアップして、愚直に積立投資を継続していただきました。

結果として、お客様は資産を増やすことに成功し、大きな成功体験を積んでいただけました。私のお客様は、100年に1度の危機と言われるリーマンショックを乗り越えることができたわけですから、下落相場ではもはや物怖じしなくなりましたよ(笑)。人生って、一度経験すると全然違うんだなと痛感しましたし、とにかく「積立投資」が有効なこと、そしてその偉大さを再認識することができました。

―投資で成功体験を積めたことは大きいことですね。成功体験がないと下落相場には耐えられないですよね。ところで積立投資はどんなところが偉大なんでしょうか?

積立投資の効果については、いわゆる「ドルコスト平均法」という手法で解説されることも多いですね。株式ではなく、「リンゴ」に置き換えてみるともっと身近に感じることができますよ!

多くの方が投資に怖いイメージがあるのは、相場が大きく上がったり下がったりして、下がった時に「このままずっと下がり続けるのではないか?」と思うからですよね。でも、ちょっと考えてみてください。リンゴの価格が下がったら、同じリンゴがたくさんリ買えるわけですから本当はとても嬉しいことだと思いませんか?下落相場というのは、いわば「バーゲンセール」と考えることができるわけです。

「価格(値札)」ばかりに気を取られていると、ついつい「個数」の視点がなくなってしまんですよね。ただ、バーゲンセールはいつ開催されるかは分からないので、定期的に買っていくのが重要になるわけです。つまり「積立投資」をするのが良いということです。そうすれば、バーゲンセールになったときに、たくさんリンゴを買うことができて、リンゴの価格が上昇したときに、その恩恵をよりたくさん受けることができるようになるわけですね。

―「積立投資」はとてもシンプルな手法ですが、すごい仕組みなんですね!こうしたことをお客様向けセミナーでお伝えされていると思いますが、セミナーに際して山口さんが大切にしていることはありますか?

2つのことを意識するようにしています。
1)お客様の投資に対するネガティブな感情をとること。
2)お客様の相場下落に対する恐怖心をとること。
これらをしっかり取り除くと、多くの方が投資することがストンと腹落ちするんですよ。

あと、「タンス預金だけをしているということは世の中にお金を回さないということで、それはある意味で罪なんですよ!」と鼓舞したり、「お金を育てるというのは、植物を育てるのと一緒で時間がかかるもの。10年単位くらいで考えることが大事ですよ。」ということもはじめに言っておくようにしています。投資では焦りは禁物です。

―確かに投資は植物を育てるみたいなところがありますよね。相談に乗っているなかで感じる「こういう人は投資に向かないな」というのは何かありますか?

そもそも論として、世界経済がこれからどんどん衰退していくイメージがある人は投資に向かないですね。自動車やインターネットがない時代に逆戻りしていくと思うかどうかです(笑)。世界経済が継続的に緩やかに成長していくというところに一定の納得感があるのであれば、10年タームなど長期で投資すれば、リターンを得られるチャンスはかなり高いはずです。

セミナーで良くアンケートをとるのですが、アメリカや中国がどんどん衰退していくと考えている人はほとんどいないんですよ。そうであれば、長期投資は向いているはずです。あと、今後、どんどん円安になると思うかについてヒアリングするのですが、圧倒的に「円安派」が多いのですよね。そうであれば全資産を「円」で持つのは危ないかもしれないですよとお伝えしています。全資産を円で保有するというのは、円安になった時に資産が目減りすることになりますので、もし円安になる可能性が高いと思うなら、資産の一部を外貨で保有したり、外国の株式や債券などにしておくべきです。相場格言の「卵は一つのカゴに盛るな」というわけですね。

インフレについても同様のことが言えると思います。「絶対にインフレにならないでしょ!」という確信があるなら特に何もしなくても良いと思いますが、もしそうでないなら、インフレ対策を講じておくことで資産の目減りを阻止することができます。

そうは言っても、なかなか投資に踏み込めないのは理解できます。人間は習慣じゃないことをやるのは本当に苦痛ですし、何よりも面倒くさいですからね。そういう意味では、セミナーを聞いた直後で気持ちが高まっているときに、証券口座の開設手続きなどができると良いと思います。「明日やろう、週末やろう」などと時間をあけてしまうと忘れてしまいますし、「鉄は熱いうちに打つ」のが1番です(笑)。

日本政府が自分の老後の面倒を最後まできっちり見てくれることに賭けられるなら「特に何もやらない」という選択肢もあると思いますが、そうでないなら、資産はきちんと自分自身で育てて守っていく力が必要だと思います。

―最後に山口さんの使命を教えてください!

「投資の誤解を解きたい!」と思っています。「一見怖そうだけど、実は良い奴なんだよ!」と愛を持って伝えていきたいですね(笑)。その結果として、一人でも多くの方が、しっかりと自分軸で選べる人になって欲しいと願っています。

最近、投資を身近に感じてもらうには、「投資」や「資産」という用語を使ってはダメだと痛感しています。こうした用語を使った瞬間に「違う世界のもの」と思われてしまいますから。投資なんて、ご飯を食べること、お風呂に入ること、歯を磨くことくらい簡単だし日常感があるものだと思ってもらえるように頑張っていかないといけないと思っています。個人的に気に入っているのは、「増やしワザ」という言葉なんです(笑)。「節約」、「やりくり」、「増やしワザ」の3本柱で「投資の誤解」を1つ1つ解いていきますよ!

―本日は貴重なお話をありがとうございました!

【編集者の感想】
投資において、「価格」ばかりに気を取られていて「個数」の視点が欠けているというのは納得感がありました。食品や服やバッグのバーゲンセールでは大喜びするのに、いざ株式などの金融商品の下落となると、悲しい気持ちになってしまうのはなんとも不思議なものです(笑)。世界経済が長期的視点に立った時に、これから成長していくという考えが腹落ちするなら、長期にわたって積立投資を行うことで、しっかりとプラスリターンを確保できることが良く分かりました。山口さんが言うように、投資は実は良い奴だということが分かってもらえる日が来ると良いなと思いました。「増やすワザ」が流行語になる日は近いのかもしれませんね! (おわり)
ファイナンシャルプランナー・山口京子
【前編】資産を増やすには生活習慣や日々の意思決定の見直しがカギ
【後編】使命は「増やしワザ」で投資の誤解を解いていくこと

取材・文・編集/野水瑛介(FOUND編集部)、写真/荻原美
※撮影場所協力:和食器・陶器ショップ “美命mikoto
http://www.mikoto.jp/1top.html

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