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お金と真剣に向き合うには”ジブンゴト化”が必要|家計再生コンサルタント・横山光昭 第1話

今回は、メディアに度々登場し、相談件数は合計23,000件、著作は累計330万部を誇る、有名な家計再生コンサルタントでいらっしゃる横山さんにお話を伺いました。ちょうど世間で「老後2000万円不足問題」が話題になっている頃に取材させていただきましたので、当該問題についても色々とお考えを聞かせていただけました。また、どうすればお金について「ジブンゴト化」できるのかについても伺いました。全3話ですので、ぜひお付き合いください!

横山さんプロフィール写真

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。
https://myfp.jp/

個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は110冊、累計330万部となる。

―まずお伺いしたいのが、6月頃にテレビでも大きく取り上げられたいわゆる「老後2000万円不足問題」についてです。本件についてはどのようにお考えですか?

具体的な数字は色々あるにせよ、これってずっと前から出ている問題ですよね。正直言って、「今更こんなことを言うんだ」と思いましたし、メディアの取り上げ方もちょっと残念でした。金融庁の意図しない形で盛り上がってしまいましたよね。ですが、世間で「話題」になるということ自体は成功だったと言えるかもしれません。テレビを見ない人や、そもそもテレビを持たない人も増えているなか、なんやかんやテレビの影響力は大きいことが分かった一件だったと思います。私もおかげ様で本件についてメディア取材はすごく増えました(笑)。「2000万円も本当に必要ですか?そんなに作れますか?」という質問が多かった印象です。

しかし、この件が盛り上がったということは、結局のところ、資産形成は「他人事」だったということですよね。お金の専門家たるファイナンシャルプランナーたちはずっと本件について伝えてきたのに、私も含めてやっぱり力及ばずだったんだなと思い知らされました。とても残念です。老後資金が不足するのは明白なのに、それがしっかり認識されていないのは本当に問題だと思います。

―確かに結果的に世の中で話題になったのは良かったのかもしれませんよね。どうしたらこの問題は「ジブンゴト化」できると思いますか?

私は今まで2万3千人以上のお客様の相談に乗ってきました。その経験から言えることは、老後資金のことが「ジブンゴト化」するタイミングはとても些細なことである場合が多いということです。親の介護が必要になり兄弟でお金を出し合うときに、自分だけ出せるお金がなかった。引っ越しや結婚しようとしたときに、それができるお金が手元になかった。

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やはり、人生の節目や転機において、それなりのお金が必要な時期なのに、出せない自分がいることに気付いたときに大きな危機感を覚えるようです。そういう時に、それまではなんとかなっていたけれど、「このままではまずいぞ!」とリアルに感じるんだと思います。いわゆる「ライフイベント」がきっかけになるんですよね、やっぱり。逆に言うとそこくらいしかお金と真剣に向き合うきっかけなんてないですよね。

―確かにお金が本当に必要なときに無いと大きな危機感を覚えそうです。ところで、はじめから貯金がきちんできる人ってどんな人なんですか?

そもそも「物欲」があまりない人なんだと思いますね。そういう倹約家は日本には結構いるんですよ。しっかり貯められる体質なのに相談にいらっしゃるんですが、「自分はきちんとできている」とプロから「太鼓判」とか「お墨付き」が欲しいようなんです。「普通に生活していたらお金は貯まりますよね?なんで貯まらない人がいるのでしょうか?私がおかしいのですかね?」と真剣に悩んでいる方もいるくらいです。私は実はかなりの浪費家タイプなので、そういう方は本当にすごいと思います(笑)。私みたいな人がお金を貯めるには、とにかく使わないように「仕組み」を作ることが重要です。お金は手元にあるとすぐに使ってしまいますから、貯める用の口座はちゃんと別に作っておくなどの対策は有効ですね。

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ところで、キャッシュレス全盛期となってきましたが、これらの管理もきちんとしたいところです。現金は「使ってしまった」という感覚がちゃんと芽生えますし、物理的にお金が手元から無くなるので以外と管理しやすいんですよ。クレジットカードだと、「使ってしまった」という感覚が薄いですし、記憶にもあまり残らず、使いすぎてしまうことが多くあります。あとから請求がくるので、管理が難しいと感じる人も多いのです。もちろん、向き不向きはあります。クレジットカードでも、ちゃんとお金の管理ができる人はいますからね。あとクレジットカードは、家計簿アプリと自動連携できるのが便利なので、使いこなせれば把握もしやすいものです。支払方法はどういう方法をとっても、一長一短があるものなので、自分に合った方法を選びたいものですね。

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―確かにキャッシュレスで便利な時代になったものの、お金を使ったという感覚は年々薄れていますよね。ちょっと怖くなります。横山さんのところにはどういう方が相談に来るんですか?

私は「家計再生」をメインとしているので、相談者は富裕層ではなく、全国平均的な年収水準の方が多いですね。年代としては30~40代が多いです。もちろん一部、富裕層の方もいるのですが、傾向として実は年収が高い方のほうが貯蓄できない傾向になりやすいですね。やはり、あるとあるだけ使ってしまうのが人間の性質なんですね(笑)。

家計状態を分析すると、資産運用どころの騒ぎではない人も多いので、家計改善してまずは貯蓄をしっかり作り、そのうえで資産運用もできる元手を作りましょうとアドバイスしています。昔はお金の使い方が派手でお金が手元にないという人が結構いたんですが、最近は「不況型」でお金がない人が多いんですよ。なかには低収入で生活費に困り、支払いに充てるお金が不足してしまい、その穴埋めのためにキャッシングやリボ払いを利用して、それも返済できなくなって、生活が回らなくなってしまう人もいるのです。

―「不況型」が多いと伺って、本当に格差が広がっているのだと感じました。家計改善は具体的にはどんなアドバイスをされていますか?

まずは支出について無駄なところはないかを徹底的に分析します。いるか?いらないか?はもちろん、その方の価値観に応じてアドバイスします。「お金をかけたくないところにお金がかかっている」ということが最も問題ですので、そこをまず削ります。例えば、食費が平均より高くても、それにお金をかけたい価値観なら特に問題はないのです。

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あとは、そもそも無駄遣いをしているという意識すらない人が多いですね。例えば、スマホ代金は月額8000円とか1万円だということに何も疑問に思わないのです。「それはそういうものでしょ」「仕方ないよね」というスタンスなんです。そういう「まぁ、いいか」という小さなコストの積み重ねが、あっという間に数万円になっていたりするんですよ。逆に言うとそれくらいは月額で捻出できるんです。「投資できるほどお金に余裕がない」と言う方がいますが、多くの場合はそんなことはないですね(笑)。

1年くらいかけてじっくりかつ徹底的に体質改善したら「卒業」してもらうようにしています。それでも年に数回くらいは「定期健診」という立て付けで相談に来られる方はいます。なんだか歯医者みたいな仕事ですね(笑)。

【編集者の感想】
資産形成についていくら周囲がどうこう言っても、結局は本人がリアリティを感じないと行動しないのだと強く感じました。そういう意味で、ライフイベント以外でお金について考えることはかなり難しいことなのかもしれません。給料が高いほど実は貯蓄ができないということについては、とても納得感がありましたし、人間の非合理性に思わずクスッと笑ってしまいました。(つづく)
家計再生コンサルタント・横山光昭
【第1話】お金と真剣に向き合うには”ジブンゴト化”が必要
【第2話】人生の”ゴール”が分からないと最適ルートはアドバイスできない
【第3話】横山家の「家族マネー会議」を大公開!

※取材・文・編集/野水瑛介(FOUND編集部)、写真/荻原美津雄

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