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第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜

投資のことをいろいろ学びはじめて、急にこの世界に興味を持ち出したモネ。

インターネットで色々調べていると、「フィンテック」とか、「ロボアド」なんていう聞きなれない言葉を耳にするようになった。

特に「ロボアド」と呼ばれる「ロボットアドバイザー」は 、どうやらロボットが投資のアドバイスをしてくれるらしい。

ロボットに投資なんて、ホントにできるの?

漫画の世界のような話に疑問だらけのモネに 、ブルベア先生は、どう答えるのか?


ロボアドって、何だろう?

M:
この間インターネットの記事を見ていたら、「ロボアド」っていう言葉が出てきましてですね。

どうやらこれは、最近のフィンテックの1分野とか言われているようなんですが、何がなにやらさっぱりです。

B:
「フィンテック」というのは、確かにここ数年いろいろなところに広まったね。これは「Fintech」つまり「Finance(金融) +Technology(技術)」が語源だ 。

先端のIT技術を使った、新しい金融サービスのことだよ。

身近なものだと、スマホなどでカード決済ができる「モバイル決済」などが有名だな。

M:
ジブンもモバイル決済使ってます。あれ、すごく便利なんですよね。


それで例の「ロボアド」、これがわからないんですけど、一体何ですか?

B:
ロボアドは、「ロボットアドバイザー」の省略語のことだ。

ひと言でいうと、ロボットが、投資をしたい人にアドバイスをしてくれる、そんなサービスだ。

「投資をしたい」と思っても、初めのうちは、
「何から手を付ければいいのか?」
「どんな商品に投資をしたらいいのか?」
「いくらから投資すればいいのか?」
そもそも積立とは?など、かわらないことだらけだろう? 

もちろん証券会社に行き、自分の代わりに投資家のプロに運用してもらうというサービスは昔からある。

でも投資に必要な資金が多かったり、 高い手数料を取られたりで、決して誰にでも敷居が低かったわけではないんだ。

M:
じゃあそんな人のために、ロボットが投資家のプロに成り代わってアドバイスしてくれるってことですか?

え!?ロボットってこんなのですよね?

B:
まあ、ロボットなんだけど、手や足があって動くわけじゃないからの。

コンピューターのアルゴリズムを元に、人工知能(AI)が個人個人にあった資産運用をアドバイスしてくれるサービスだな。

おもにスマホのアプリとか、インターネット上でサービスが展開されるわけだ。


人間の代わりにロボットがやることにより、手数料や運用報酬料が安くおさえられるというカラクリさ。

しかし、ロボアドの中でも、そのサービスの内容はいろいろある。

ロボアドをもっと詳しく知りたい!

M:
ロボットが人間の代わりに投資アドバイス…、やっぱり半信半疑だなぁ。どういうサービスなんだろな…。

B:
ザックリだけ言うとこんな感じだ。まずロボアドを提供しているいろいろなサイトにアクセスしてみる。 

すると無料診断で質問事項がいくつか出てくる。「自分の年齢」「自分の年収」「今の預貯金額」あるいは「株が1ヶ月で20%下落したら?」のような質問を通して、利用者の「リスク許容度」を推定する。

その回答内容から、ロボットがどういう投資をしたらいいのかアドバイスしてくれて、自分にあった資産の配分(ポートフォリオと言う)を提案してくれるわけだ。

その提案に「悪くない、いいじゃない」と納得したら、契約書類などを読んで申し込むんだ。

M:
ほええ!コンピューターがそこまでやってくれるんだ!

でも1つ 不安が…。本当に、ロボットなんかに任せて大丈夫なんですか?

そういうのって、絶対にいいことだけじゃないと思うんだよな。 

B:
心配性なのは投資の道を歩むのに悪いことじゃない。

では、まずメリットから話そうか。特別な知識は不要で、通常の投資と比べて、時間と手間がかからないこと。

そして、サービスによっては少額から投資ができること。さらに証券会社の窓口に行かなくても、ネットでできることだろうね。


デメリットは、「投資」ならではのリスクはつきもの。

どんなに頭のいい人工知能搭載ロボットといえども、予測できない、対応できない事態は当然起こりうる。

電話などでの細かいケアやフォローアップは基本なしで、質問などは基本的にメールの場合がほとんど。

M:
なるほど~。たしかにロボットのアドバイスって言っても投資の一種だから、株とかと同じでリスクはやっぱりあるんだ。

ロボットが完璧じゃないなんて、ショックだなぁ。このことはちゃんと覚えておいたほうがいいかもなぁ。

ロボアドには2種類のタイプがあるって!?

B:
しかしだな、最近、ロボアドはいろいろな会社がサービスを出しているから、いざはじめようと思っても、迷ってしまう人も多いんだ。

モネもそうなんじゃないか?

M:
そうなんです。「ロボアド」で検索すると、本当にたくさん出てきて、どれがいいのかわからないんです…。

B:
まあ、そう困ることはない。ひとまずは、抑えるべきを抑えておけば、それで良い。

ロボアドには大きく分けて「アドバイス型」と「資産運用お任せ型」の2種類ある。


まず、「アドバイス型」を説明しよう。

このロボアドの場合、利用者はいくつかの質問に答えた結果、自身がどういう資産の配分(ポートフォリオ) で資産運用をすればいいのかの提案のみをもらえる。

つまり、「売り買い」や「リバランス(投資する配分を調整すること) 」は自分でやらなくてはいけないわけだ。


そして次、「資産運用お任せ型」の説明はこうだ。

まず、ロボットが利用者に合った資産運用の配分(ポートフォリオ)をはじき出す。これに合わせた資産運用をスタートさせてくれる。

基本的にはETF(上場投資信託)と呼ばれる金融商品で資産運用される。リバランス(投資する配分を調整すること) もマーケットの情報を見ながらなんと自動でやってくれる。

まさしく「おまかせ」だ。だがその代わりに、こっちのほうが手数料はちょいと高くつく。

M:
ジブンはズボラだから、全部ロボットに任せちゃいたい、って気持ちも捨てがたいんだよなぁ〜。

ロボアドって、どうやってできたの? 歴史を教えて

M:
それにしても、最近のロボアド人気はすごい気が…。一体、どうしてなんだろう?

B:
モネ、よく聞け。ロボットは完璧ではない。しかし、人間はもっと完璧ではない。お前もそう思うだろ? 

だから人に任せるよりも、人工知能を備えたロボットに任せたほうが高いパフォーマンスで運用できる、そう人々は期待を寄せている。

きっと、そんなところに起因しているんだ、今の人気は。

長期投資の場合だと、ロボットに任せたほうが効率的にリターン を生める可能性が高い、という考え方がある。

人間は、場合によっては感情に左右されたりすることもあるからね。

その反面コンピューターは、データを元に効率よく運用できる道を沈着冷静に進める 。

つまり金融の世界では、人間が運用するよりもAIに任せたほうが効率がいいことが、わかりはじめているんだ。

M:
人間にとって、とても大事なお金までAIに任せるなんて、なんか変なの。どうせロボアドって言ったって、大した歴史もないはずなのにな…。

B:
まあ、確かに長い歴史はない。しかし、まったくないというわけでもない。アメリカでは、2000年にはこのロボアドは生まれていたと言われているん だ。

日本でもここ数年で、どんどん新しいロボアドのサービスが提供されるようになってきた。運用されている額も、どんどん増えているんだ。

M:
人工知能が人間のお金を増やす時代、ひゃあ、なんだか凄いな~。

最初は「ロボットが投資?」なんて半信半疑のモネであったが、 多様なサービスが実在し、自分にあった投資を人工知能が自動で選んでくれることを知り、ワクワクした気持ちになったのであった。

ブルベア先生に、「ロボアドも投資だからリスクがあるんだよ」ということを何度も言われながらも、モネの片手に握られたスマホの画面には、さまざまなロボアドサービスが映し出されている。

きっと夜空の月は、モネの夜更かしを笑いながら眺めているのであろう。

つづく

【 資産運用の図解教室 の 目次 】

第0章 お金を増やす、ということ 。
第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ?
第2章 投資で得られる未来?ー前編
第3章 投資で得られる未来?―後編
第4章 投資をすればお金は増えるの?
第5章 投資って、危険なの!? 〜リスクとリターンのお話
第6章 今の時代を考えると、預金?それとも投資?  
第7章 投資の種類のお話 〜前編〜 投資のいろいろ
第8章 投資の種類のお話 〜後編〜 投資のいろいろ
第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?
第10章 投資で「人生のお金」を設計する?
第11章ー前編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第11章ー後編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜
第13章 株式投資ライフをはじめよう
第14章 株を買う・売るってどうやるのかな?
第15章 株式の銘柄とチャートってなんだろう?
第16章 自分の株式投資のスタイルについて考える
第17章 株価以外の「株の価値」?その良し悪しを見極められる指標って?
第18章 誰かの一言で、株価が動くの?
第19章 株の分散投資って、どういうこと?
第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?

イラストレーション/浜畠かのう