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第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ ?|資産運用の図解教室


—— なんの因果か出会ってしまったふたり、ブルベア先生とモネ。

お金を増やす秘訣を探ろうと、聞き耳を立てていたモネの心に引っかかったのは、「資金を 投資して、お金に働いてもらう」=「資産運用」という、考えたこともなかった方法であった。

「えっ、資産運用? 資産なんか持ってないんだけど!」と悩むモネに、ブルベア先生は、なんと答えるのだろうか?

「資産」の本当の意味

モネ:
ブルベア先生、「お金に働いてもらう=運用」について、ぼんやり考えてみたんです。

「お金に働いてもらう=運用」というのは、つまり「資産運用」っていうやつのことですよね? 

だとしたら、

「ジブンには資産なんかないからダメだなぁ。無理だなぁ、そんなお金の増やしかたは~」

って、暗い考えになってしまったんです。

だって「資産 」って言葉から連想するのって、こんなイメージなんです…。


B:

たしかに、「資産」という単語は、たいていの人には
「私なんかにカンケーないし…、私、資産家じゃないし…」
と思われてしまうかもしれない。

でも実のところ、この「資産」というやつは、フツウの人々にも多いに関係があるのだよ。

ほら、辞書には、こう書かれてある。

“資産:個人または法人の所有する金銭・土地・建物などの総称。財産。“(出典:デジタル大辞泉)

これでわかっただろ?「資産」というものは、なにも大富豪や一部のエリートに限った話ではないんだ。

極端に言えば、お金を使う人ならば、みんなが持っているのが「資産」ってことだ。

M:
えー、知らなかった!

B:
別荘とか、高級車とか高級時計だけが資産ではないんだ。

ほら、モネの財布にはいくら入っているのかな?

M:
えっ、お財布に?えっと、1,000円かな…。

B:
じつは、それも立派な「資産」なんだよ。

M:
えっ、そうなの…。ジブンにも1,000円の資産があるわけですか…。でも、嬉しいような、悲しいような…。

この1,000円に働いてもらうと、お金が増えるってことなの?

—— そんな思いを巡らせてみても、「資産運用」と「ジブン」とがどうしても結びつかないモネ。「お金に働いてもらう」と言われても、そもそも、お金がないから悩んでいるわけであって…。

たとえお金が働いてくれるとしたって、モネには働いてもらえるお金が、そもそもない。そう思うと、ますます不安に襲われるのだった。

みんな、すでに、お金の運用をしている?

B:
1,000円に働いてもらうと、お金は増えるのか? その問いに対する答えは、YESだ。

1,000円であっても、働いてもらうことでお金は増やせる。

いくら、お金のことにドンカンに生きてきたモネだって、銀行に少しぐらい預金はしているだろう?

そう、そうなんだ。本人が意識しているいないに関わらず、モネも「お金を運用する」ということをやっているんだよ。

預けたお金には、利息というものがつくからね。今、モネが預けているお金は、わずかながら自動的に増えていくんだよ。

そうなると!

ジブンのお金=資産
ジブンのお金を銀行に預けること=資産運用

ということになるから、つまるところ、モネはすでに「資産運用」というものをやってきた!ということになるわけだ。

たとえば、モネの1,000円を働かせると、こんな具合になる。

M: 
えっ、そうだったの! 全然、実感がないけど、もう何年も銀行を使ってきたことを考えると、資産運用のベテランの域なのかなぁ。

そう思うと、何だか急に自信がわいてきたみたい…。

お金を運用して、お金を増やすって、考えていたほど、ハードルの高いことでも、別次元のことでもないような気がしてきました。

「資産運用」の2つのカタチ、「貯蓄」と「投資」

B:
おお、そう思えるのは素晴らしいことだ。ただ、覚えておいてほしいのは、今のような金利(預けたお金に対する利子)がとても低い時代には、銀行に預けたお金は、ほとんど増えないということだ。

資産運用は、大きくわけると2つのカタチがある。

1つが「貯蓄」、もう1つが「投資」だ。

「貯蓄」はお金を守る資産運用、「投資」はお金を増やす資産運用。

言い換えると、「銀行預金」はお金の稼ぎがいまひとつよくない場所、「株や不動産や債券などへの投資」は、お金が大きく稼いでくれる可能性がある場所、ともいえるだろう。

「どうせお金を働かせるなら、より多くのお金を稼いでくれる場所で働かせたい」と願う人は多いはずだ。

たとえば、AとBというアルバイト先があったとして、Aが日給7,000円、Bが日給9,000円だったら 、どちらで働きたいと思うかね?


M:
それは、聞くまでもないことです。Bに決まってます。9,000円のBの店の方方が稼げますからね。


B:
では、次のような条件ならどうだろうか? 

Aの仕事 → 長い間、定期的に一定の賃金で仕事をくれる。

Bの仕事 → 賃金は高いが、会社の業績などでもらえる仕事の量が、月によって多かったり少なかったり、と変動する。さらに、いつクビになるかもわからない。

さぁ、モネなら、どちらの条件を選ぶかね?


M:
ジブンの場合、それでもBを選ぶと思います。

なぜなら、会社の業績をジブンが仕事を頑張ることで上げればいいからです。

でも、Aを選ぶ人もいそうだなあ。Bはリスクがあるもの。


B:
なかなか、いい言葉をチョイスしたな。そうだ、「投資」には、「リスク」がつきものなんだ。

みんな、リスクを取って、自己責任の上での選択をしなければいけないんだ。

まあ、リスクのことは重要なので、ここでは省いて、また後で詳しく話すことにしよう。


M: 
Aの仕事はBと比べ、賃金が低いから稼げる額も決まっているけど、安定していて安心。

Bは賃金が高くガッポリ稼げることもあるけど、仕事量が安定せずに職を失う危険性もある。

ひと言で言うと、Aは危険性は低いけど低い稼ぎ、Bは危険性はあるけど高い稼ぎ、ということになるのかな…。

B: 
そうだ、その通りだ。では、それをお金がお金を稼いでくる場所に置き換えてみるといい。仮にAが銀行、Bが株式市場だとする。

そうなると、元手が同じであったとしても、可能性としては、その稼ぎが大きく変わってくることになるわけだ。

これは、あくまでも可能性の話ではあるが、自分のお金が、1.01倍になるか、1.5倍になるか、は大きな違いを生むわけだ。



つまり、実のところ、資産運用というものは、銀行預金などを通じて、多くの人が知らぬうちにやってはいる。

しかし、上手にお金でお金を稼いできてもらえる可能性がある「投資」による資産運用をやっている人は、本当に少ないんだよ。特に、日本ではね。


M:
ブルベア先生!「お金に働いてもらう=資産運用」ということが、なんとなくイメージできるようになった気がします。

でも、どうしたら上手な資産運用ができるのか? もう少しそのことについて教えてください!


B:
まあ、あせるんじゃない。「急いては事を仕損じる」、ということわざもあるだろう。今日のところはこの辺りでやめておこう。


M:
えー、でも、もっと知りたかったなぁ。チェッ、つまんないの。

今日と明日の100円の価値

B :
代わりにと言ってはなんだが、最後に、クイズでも出してやろう。
モネ、お前は次のうち、より価値があるものは、どれだと思う?

1. 今日もらえる100円
2. 明日もらえる100円
3. 明後日もらえる100円


上の3つの中で一番価値が高いのはどれかな?


M: 
えっと、今日も明日も明後日も、100円は100円でしょ。

いや、待てよ。「楽しみは後にとっておきなさい!」って、うちのママがよく言ってたっけ。

それに早くもらおうとすると、がっついていると思われちゃって、格好悪いからな。答えは3です!


B:
ブブーッ。答えは1だ。「お金にお金を稼いできてもらう」とさっき教えたよね。 

そう、今日もらった100円というお金は、「今日」「明日」「明後日」という時間の中で働かせることができるんだ。

つまり、すぐに資産運用ができるってわけだよ。



でも明日もらう100円は、「明日」以降に、明後日もらう100円は、「明後日」以降にしか、資産運用できないだろ? 

わかったか。じゃ、つづきは、また次で!

残念なことに、今日の日を有終の美で飾ることのできなかったモネ。

悔しさに顔をゆがませながらも、「資産運用」のことを、ほんの少しだけ身近に感じられたことで、気分は少し晴れやかなのであった。
(つづく)

【 資産運用の図解教室 の 目次 】

第0章 お金を増やす、ということ 。
第1章 「投資」による「資産運用」って、なんだ?
第2章 投資で得られる未来?ー前編
第3章 投資で得られる未来?―後編
第4章 投資をすればお金は増えるの?
第5章 投資って、危険なの!? 〜リスクとリターンのお話
第6章 今の時代を考えると、預金?それとも投資?  
第7章 投資の種類のお話 〜前編〜 投資のいろいろ
第8章 投資の種類のお話 〜後編〜 投資のいろいろ
第9章 投資に使うお金? 余裕資金って、なんだ?
第10章 投資で「人生のお金」を設計する?
第11章ー前編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第11章ー後編 テーマを見据えて投資をする? テーマ投資・テーマ株に挑むには?
第12章 ロボットが投資のお手伝いだって?〜ロボアドのお話〜
第13章 株式投資ライフをはじめよう
第14章 株を買う・売るってどうやるのかな?
第15章 株式の銘柄とチャートってなんだろう?
第16章 自分の株式投資のスタイルについて考える
第17章 株価以外の「株の価値」?その良し悪しを見極められる指標って?
第18章 誰かの一言で、株価が動くの?
第19章 株の分散投資って、どういうこと?
第20章 資産運用って、結局のところ、まとめるとなに?

イラストレーション/浜畠かのう